[ヘルシンキ 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中央銀行総裁はロイターのインタビューで、ECBはインフレ抑制のために急ピッチな利上げを続ける必要があると指摘し、金利はクリスマス前には経済を刺激しない水準に達する可能性があると述べた。
ECBは過去2回の会合で合計125ベーシスポイント(bp)利上げし過去最速ペースの引き締めを実施した。
レーン氏は、「75bp、50bp、それ以外の幅であれ、大幅利上げを決定する根拠がある」と述べた。「それ以外の幅」が何bpかは示さなかった。
理事会内で穏健派とされる同氏は「今年初めまでは漸進主義に賛成していた。しかし今は前倒しで断固とした行動を取るべき根拠の方が強い」と述べた。
10月、それに続く利上げで政策金利は成長を刺激も落としもしない中立金利になるとみられる。
「わたしの見解では、クリスマスまでに中立金利の域に到達する方向だ」とし「そこに到達したら、制約的領域に移行すべきか分かるだろう。インフレ見通しから制約的領域への移行が必要と判断すれば、そうすることになる」と語った。
中立金利は具体的な水準が示されているわけではないが1.5─2%とされる。政策金利の中銀預金金利は現在0.75%。市場はインフレ高進を背景に、中銀預金金利が年内に2%に達し、来春には3%超に上昇するとみている。
一方でレーン氏はインフレ期待はなお目標に「ほぼ固定」されており、持続的物価上昇の条件である賃金上昇は起こっていないと指摘。
「ユーロ圏のインフレには、他と比べて強い押し上げ要因とブレーキ要因がある。押し上げ要因はエネルギー。これまでのところブレーキ役になっているのは比較的緩やかな賃金上昇だ」と述べた。
ユーロ圏の銀行はECBにお金を預けて利子を受け取ることができる。ビルロワドガロー仏中銀総裁ら理事会メンバーからは、制度の見直しが必要との声が上がっている。
レーン氏は「こうした条件は、現在および将来的に銀行をかなり利すると言える」と述べた。