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アングル:ツイッターに没頭するマスク氏、懸念示すテスラ投資家

発行済 2022-11-17 13:47
更新済 2022-11-17 13:54
© Reuters.  2018年、イーロン・マスク氏はカリフォルニア州とネバダ州にあるテスラの工場で夜を徹して働き、睡眠もそこで取っていた。テスラが「モデル3」の生産拡大に必死になっていた頃

[サンフランシスコ 15日 ロイター] - 2018年、イーロン・マスク氏はカリフォルニア州とネバダ州にあるテスラの工場で夜を徹して働き、睡眠もそこで取っていた。テスラが「モデル3」の生産拡大に必死になっていた頃だ。

今月14日、マスク氏は「昨日はサンフランシスコのツイッター本社で夜通し働いた」と発言した。先日440億ドルで買収したツイッターの改革が終わるまでは、「ここで働き、眠ることが続く」という。

細部にこだわる「ナノマネジャー」を自称するマスク氏には、危機のさなかに長時間働くことを好む傾向があり、同氏の個性の1つとして有名になっている。だが大資産家のマスク氏によるツイッター買収をめぐる混乱が長期化した挙げ句、同氏がツイッターの経営に没頭していることで、テスラの投資家の中には、世界の自動車メーカーの中で最も株式時価総額の高いテスラのCEOとしての役割に集中できなくなるのではないかという懸念が生じている。

ベンチャーキャピタル企業ループ・ベンチャーズのマネージング・パートナーであるジーン・マンスター氏は、「テスラの投資家は苛立ってくるだろう」と話す。「マスク氏が今後おそらくツイッター経営のために多くの時間を費やしていくのは、テスラの投資家にとっては愉快な話ではない」

マスク氏は14日、「テスラの仕事もやっている」とツイッターに投稿し、今週のうち何日かはテスラで働く予定だと述べている。テスラはカリフォルニア州パロアルトにオフィスを構え、同州フレモントに工場を置いている。

マスク氏がツイッター株の購入を発表した4月初め以来、テスラの株価は50%下落した。マスク氏自身もツイッター買収を発表して以来、保有するテスラ株を合計200億ドル相当売却しており、これも株価下落圧力を強めている。

中国では需要低迷が懸念され、米国ではテスラの運転支援技術「オートパイロット」について同社が主張する性能に関して規制当局の調査が入るなど、テスラが直面する課題は増えつつある。

ロイターの集計によれば、10月に買収を完了したツイッター上でのマスク氏の投稿のうち、今月ここまでの時点で、ツイッター「再起動」の取組みに関するものは全体の3分の2に及んでいる。

マスク氏のツイッター投稿のうちテスラに関するものは、過去8カ月間の平均では約16%を占めていたが、11月1日から同15日まではわずか3%にとどまっている。

マンスター氏は、マスク氏の関心は今後6−12カ月はツイッターに注がれるだろうと予想し、テスラは初期の頃に比べれば成熟した企業となっており、マスク氏に直接依存する部分は減っていると説明する。

マスク氏は先日、ツイッター買収以来、仕事量が大幅に増えたと述べている。

14日、インドネシアで開催されたビジネスカンファレンスにリモートで参加したマスク氏は、「やるべきことが多すぎる」と述べ、「週7日、朝から晩まで働いている」と話した。

マスク氏は今月に入って、投資カンファレンスで同氏の経営する宇宙企業の名を挙げつつ、「正しい軌道に乗りさえすれば、ツイッターの経営はスペースXやテスラに比べてはるかに楽だと考えている」と述べた。

テスラの投資家でありマスク氏の熱心な支持者であるロス・ガーバー氏は15日、テスラは多忙なマスクCEOの補佐役を見つける必要があると述べた。「ついに、マスク氏が自身の限界に挑戦するポイントに達してしまったのだと思う。ふさわしい補佐役を見つける必要があるだろう」

<「最小限の時間」>

テスラの取締役会は、マスク氏がスペースXの他、規模の小さな複数の企業に注力することに対する懸念を表明している。マスク氏の報酬をめぐる訴訟に関連した裁判書類によれば、テスラのロビン・デンホルム取締役会長は2018年に送信したメールの中で、マスク氏がテスラに「最小限の時間」しか注いでいないことが「ますます問題になりつつある」と書いている。テスラのある株主は、テスラ経営への全面的な注力をマスク氏に求めることなく560億ドルもの報酬パッケージを承認したことは取締役会の失敗だった、と話している。

テスラ取締役としてもう1人、イラ・エーレンプライス氏は裁判の中で、マスク氏の報酬は費やした時間に対するものではなく、出した結果に対するものだと指摘している。マスク氏も2021年の証言録取の中で同様の趣旨を述べている。8月に行われたテスラの年次株主総会で、マスク氏は「キーマン・リスク」に関する質問に対し、同僚らを称揚する形で「この会社には非常に有能なチームがある。だから、仮に私がエイリアンに誘拐されたり、自分の星に帰ってしまったとしても、テスラはたいへんうまくやっていけると思っている」と答えた。

マスク氏はこれまで同氏の真剣さを疑う見方が誤りであることを証明してきたし、初期からの投資家の中には、同氏がツイッターという難題を克服するという期待も見られる。資産家である投資家ティム・ドレイパー氏は、「あれほどの成果をあげた起業家なのだから、ただその偉大さを称えるべきだ。あれは凄い人物だ」とロイターに語った。

だが、我慢できなくなった投資家もいる。

© Reuters.  2018年、イーロン・マスク氏はカリフォルニア州とネバダ州にあるテスラの工場で夜を徹して働き、睡眠もそこで取っていた。テスラが「モデル3」の生産拡大に必死になっていた頃だ。11月4日撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)

ウェドブッシュ所属のアナリストで、以前からずっとテスラについて楽観的な見方を見せていたダニエル・イーブズ氏は先週示したノートの中で、「マスク氏は、弱気筋が何年も試みては成功しなかったことをやってのけた。テスラ株の暴落だ」と述べた。

イーブズ氏は、ツイッターがマスク氏にとっての「頭痛の種」「気が散る要因」であり、「金食い虫」になっていると指摘する。「ツイッターをめぐるドタバタは、非の打ち所のないEVブランドであるテスラに、ゆっくりとではあるが打撃を及ぼしつつある」と同氏は言う。

(Hyunjoo Jin記者、Akash Sriram記者、翻訳:エァクレーレン)

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