[ワシントン 9日 ロイター] - 米英当局は9日、ロシア情報機関の関与が疑われるマルウェア「トリックボット(Trickbot)」の背後にいるとされる7人の主要人物に対する制裁措置を導入したと発表した。
トリックボットは一時期、世界的に猛威を振るったマルウェアの一種。米財務省は「2020年の新型コロナウイルスの感染拡大の最悪期に、病院や医療機関を標的とし、米国内の病院に対する一連のランサムウェア攻撃を実施した」と指摘している。
ブリンケン米国務長官は声明で、米英は「サイバー攻撃の脅威から身を守るために、利用可能な全ての権限の行使を確約する」と表明。英国の国家犯罪対策庁(NCA)を率いるグレアム・ビガー氏は「国際的なサイバー犯罪を阻止するための米国との協力的な取り組みにとって極めて重要な動きだった」とした。
リコーディッド・フューチャーズのアナリスト、アラン・リスカ氏は、トリックボットはここ2、3年はあまり使用されていないものの、トリックボットの背後にいた人物らは活動を続けていると指摘。サイバーセキュリティの専門家は、トリックボットの活動は一時期、「コンティ(Conti)」と呼ばれる別のランサムウェア集団に引き継がれたとしている。
米英当局は、トリックボットとコンティは共にロシア情報機関とつながりがあるとの見方を示している。
この件に関して、在米と在英のロシア大使館からコメントは得られていない。