[シドニー 20日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のケント総裁補は20日、世界の銀行システムのストレスは主に経営状態が悪化した少数の金融機関に限られており、国内の金融政策の判断材料の一つに過ぎないとの見方を示した。
銀行システムのストレスが利上げの一時停止につながるかとの質問に対し、4月の次回政策決定会合で金融情勢を判断するが、管理が不十分だったのは少数の金融機関に限られているなどと述べた。
豪中銀は主要中銀によるドル資金供給には関与していないが、各国中銀とコミュニケーションを取っていると説明した。
米連邦準備理事会(FRB)は19日、ドルスワップ協定を通じた流動性供給で欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(英中央銀行)、スイス中銀、カナダ中銀、日銀と協調すると発表した。
ケント氏これに先立ち行った講演で、国内銀行は世界的な金融市場の混乱に耐えられるとし、資本水準は規制要件を大きく上回っているとの見方を示した。
「オーストラリア金融市場のボラティリティーは上昇したが、市場は引き続き機能しており、最も重要なのは国内銀行が明らかに強固な状態にあるということだ」と強調した。
さらに、住宅ローンで固定金利型が占める割合が高く、新型コロナウイルス禍で家計貯蓄が拡大したことにより、利上げの影響が経済に及ぶのに通常よりも時間がかかると指摘した。
「中銀は金融政策の伝達と家計消費、労働市場、インフレ率への影響を引き続き注視していく」とし、「理事会は適切な時期にインフレ率を目標水準に戻すため必要に応じて対処する」と説明した。