*12:21JST iーplug Research Memo(1):2024年3月期V字回復は、利益成長期入りへの転換点
■要約
1. 時代性と有効性を兼ね備えたリクルーティングサービス「OfferBox」
i-plug (TYO:4177)は、就職活動中の学生と求人企業を対象に、新卒オファー型就活サービス「OfferBox(オファーボックス)」を提供している。
新卒採用では、学生が企業に応募するエントリー型のリクルーティングサービスが多くを占めるが、企業にとって採用したい学生に出会いづらいという課題があった。
しかしダイレクト型は、インターネットサイトに登録された学生の詳細データから、企業側が検索機能を使って学生を直接選別しアプローチできるため、採用したい学生に出会いやすく、時代性と有効性を兼ね備えた優れたリクルーティング手法と言える。
同社はほかに、適性検査「eF-1G(エフワンジー)」や、2022年8月に新規事業として正式リリースしたオファー型転職サービス「PaceBox(ペースボックス)」を展開している。
2. エントリー型ばかりでなく同じダイレクト型に対しても優位性を持つ
企業と求職者の間には、情報の非対称性から情報強者の企業と情報弱者の学生といった関係が生じる。
企業が採用したい学生に出会いやすくなる理由は、「OfferBox」では情報強者である企業が探すことになるからである。
また、エントリー型では企業の認知度などに採用の軸が偏るが、「OfferBox」は求職者の属性を多様化できるためピンポイントの採用が可能となる。
重要なポイントは、エントリー型では多数の求職者を集めることだが、「OfferBox」は企業によるオファー送信や求職者によるオファー返信などを促進することである。
また、企業と求職者の行動を促進するための仕組みや企業文化も競争優位の1つといえる。
以上から、「OfferBox」はエントリー型ばかりでなく、同社を模倣したようなダイレクト型に対しても競争優位性を持つ。
3. 2024年3月期は課題の多かった2023年3月期からV字回復へ
2023年3月期の業績は、売上高3,741百万円(前期比23.0%増)、営業損失411百万円(前期は367百万円の営業利益)となった。
増収・損失計上は当初からの予定だったが、業績未達となったことに課題が残った。
課題は「OfferBox」成功報酬型の伸び鈍化や「PaceBox」立ち上げの遅れ、「OfferBox」早期定額型が想定ほどに伸びず成功報酬型などの鈍化を吸収できなかったことなどである。
既に要因分析が済んでおり、成功報酬型のサービス内容の検討、「PaceBox」は人材投入による体制構築、早期定額型は(全般に言えることだが)保守的な予算設定など策も講じている。
このため2024年3月期の業績見通しについて同社は、売上高5,088百万円(前期比36.0%増)、営業利益79百万円(前期は営業損失411百万円)とV字回復を見込んでいる。
4. 利益成長期入りへの大きな転換点となる「ローリングプラン2023」
同社は2023年3月期の業績未達を受け、前提条件などをアップデートした中期経営計画「ローリングプラン2023」を発表、新たに2026年3月期に売上高104.8億円、営業利益17.8億円を目指すことになった。
環境認識も基本戦略も変わらないが、予算設定の眼目を成長性偏向から投資収益性も加味し、定量目標は確実性の高い数値計画を用い、「PaceBox」は投資を前期水準に抑制して数値計画の見直しを行うなど、考え方を非常にフレキシブルに変更した。
ビジネスの目的も、新卒採用のミスマッチ解消から、「全ての人のキャリアを最大化し、ひいては日本の労働力を最大化する」へと、より社会性の高い目的にバージョンアップされている。
考え方と中期目標値を変えただけだが、2024年3月期は利益成長期入りへの大きな転換点になる可能性を秘めていると思われる。
■Key Points
・新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」を展開、中途向け「PaceBox」も開始
・2024年3月期は2023年3月期の業績未達からV字回復、再成長期入りへの転換点となりそう
・中期経営計画「ローリングプラン2023」で新たに2026年3月期営業利益17.8億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
1. 時代性と有効性を兼ね備えたリクルーティングサービス「OfferBox」
i-plug (TYO:4177)は、就職活動中の学生と求人企業を対象に、新卒オファー型就活サービス「OfferBox(オファーボックス)」を提供している。
新卒採用では、学生が企業に応募するエントリー型のリクルーティングサービスが多くを占めるが、企業にとって採用したい学生に出会いづらいという課題があった。
しかしダイレクト型は、インターネットサイトに登録された学生の詳細データから、企業側が検索機能を使って学生を直接選別しアプローチできるため、採用したい学生に出会いやすく、時代性と有効性を兼ね備えた優れたリクルーティング手法と言える。
同社はほかに、適性検査「eF-1G(エフワンジー)」や、2022年8月に新規事業として正式リリースしたオファー型転職サービス「PaceBox(ペースボックス)」を展開している。
2. エントリー型ばかりでなく同じダイレクト型に対しても優位性を持つ
企業と求職者の間には、情報の非対称性から情報強者の企業と情報弱者の学生といった関係が生じる。
企業が採用したい学生に出会いやすくなる理由は、「OfferBox」では情報強者である企業が探すことになるからである。
また、エントリー型では企業の認知度などに採用の軸が偏るが、「OfferBox」は求職者の属性を多様化できるためピンポイントの採用が可能となる。
重要なポイントは、エントリー型では多数の求職者を集めることだが、「OfferBox」は企業によるオファー送信や求職者によるオファー返信などを促進することである。
また、企業と求職者の行動を促進するための仕組みや企業文化も競争優位の1つといえる。
以上から、「OfferBox」はエントリー型ばかりでなく、同社を模倣したようなダイレクト型に対しても競争優位性を持つ。
3. 2024年3月期は課題の多かった2023年3月期からV字回復へ
2023年3月期の業績は、売上高3,741百万円(前期比23.0%増)、営業損失411百万円(前期は367百万円の営業利益)となった。
増収・損失計上は当初からの予定だったが、業績未達となったことに課題が残った。
課題は「OfferBox」成功報酬型の伸び鈍化や「PaceBox」立ち上げの遅れ、「OfferBox」早期定額型が想定ほどに伸びず成功報酬型などの鈍化を吸収できなかったことなどである。
既に要因分析が済んでおり、成功報酬型のサービス内容の検討、「PaceBox」は人材投入による体制構築、早期定額型は(全般に言えることだが)保守的な予算設定など策も講じている。
このため2024年3月期の業績見通しについて同社は、売上高5,088百万円(前期比36.0%増)、営業利益79百万円(前期は営業損失411百万円)とV字回復を見込んでいる。
4. 利益成長期入りへの大きな転換点となる「ローリングプラン2023」
同社は2023年3月期の業績未達を受け、前提条件などをアップデートした中期経営計画「ローリングプラン2023」を発表、新たに2026年3月期に売上高104.8億円、営業利益17.8億円を目指すことになった。
環境認識も基本戦略も変わらないが、予算設定の眼目を成長性偏向から投資収益性も加味し、定量目標は確実性の高い数値計画を用い、「PaceBox」は投資を前期水準に抑制して数値計画の見直しを行うなど、考え方を非常にフレキシブルに変更した。
ビジネスの目的も、新卒採用のミスマッチ解消から、「全ての人のキャリアを最大化し、ひいては日本の労働力を最大化する」へと、より社会性の高い目的にバージョンアップされている。
考え方と中期目標値を変えただけだが、2024年3月期は利益成長期入りへの大きな転換点になる可能性を秘めていると思われる。
■Key Points
・新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」を展開、中途向け「PaceBox」も開始
・2024年3月期は2023年3月期の業績未達からV字回復、再成長期入りへの転換点となりそう
・中期経営計画「ローリングプラン2023」で新たに2026年3月期営業利益17.8億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)