*15:36JST 平山 Research Memo(6):インソーシング・派遣事業を中心にすべての事業セグメントで増収増益を達成
■平山ホールディングス (TYO:7781)の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) インソーシング・派遣事業
インソーシング・派遣事業の売上高は前期比10.9%増の25,283百万円、セグメント利益は同5.1%増の1,441百万円と2期連続の増収増益となり、過去最高を更新した。
利益率はFun to Funにおける採用コストや会計処理方法変更に伴う退職給付費用の増加を主因として、前期の6.0%から5.7%と若干低下した。
平山単体の業績は増収増益となり、営業利益率も前期並みの水準を維持したと見られる。
自動車部品関連や住宅設備関連において一部生産先送りによる収益圧迫があったものの、製造請負の現場改善効果が29百万円の増益要因となったほか、新規に受注した高単価案件に人員配置できたこと及びハイエンド技能人材教育に注力した結果、顧客ニーズに適合した人材配置をできたことが増益要因となった。
一方、Fun to Funについては売上高で前期比4.1%増の5,280百万円と3期ぶりに過去最高を更新したものの、経常損失で48百万円(前期は12百万円の利益)と3期ぶりに損失計上となった。
Fun to Funは主に食品・小売業界向けに展開しているが、派遣の約4割を外国人スタッフが占めている。
コロナ禍で外国人スタッフの採用が難しくなるなか、増加する求人に対応するため単価の高い日本人スタッフを採用せざるを得ず、売上総利益率の低下と採用コストが増加し収益が悪化した。
ただ、入国規制の解除により外国人スタッフの採用環境が改善してきたほか、収益性の低い取引先の見直しや派遣単価の値上げ交渉を進めるなどして、足元の収益は回復傾向となっている。
なお、同事業セグメントにおける新規採用者数は、新卒社員が415名(前期は520名)、中途採用が4,440名(同5,238名)となり、期末人員数(限定正社員、契約社員含む)は前期末比3.9%増の7,027名となった。
売上動向を業界別で見ると、自動車部品関連は前期に引き続き部品供給制約による生産先送りの影響があったものの、トヨタグループを中心とした挽回生産による業務量の拡大により、売上高は前期比2ケタ増となった。
医療機器・医薬品関連は主要顧客となるテルモ向けを中心に堅調に推移し、建設機械・特殊車輛、小売・ホテル、物流関連も2ケタ増と好調に推移した。
また、注力分野と位置付けている半導体・電子部品関連も、大手半導体ウェーハメーカーなど新規顧客の獲得に成功し順調に増加した。
特に、半導体関連については専門人材の育成を強化するため、研修センターを2カ所(南関東研修センター、神奈川研修センター)開設し、半導体製造ラインのオペレーターや製造装置の保全を行うフィールドエンジニアの育成に注力しており、今後の成長が期待される。
一方、売上高が減少した業界を見ると、低採算顧客との取引見直しにより食品関連が前期比1割減となったほか、デジタル関連もオフィス機器メーカー向けの受注低迷により減少した。
また、住宅設備関連も輸出向けの減少により下期に失速した。
(2) 技術者派遣事業
技術者派遣事業の売上高は前期比21.8%増の2,676百万円、セグメント利益は同890.9%増の64百万円となった。
慢性的な技術者不足を背景に、プラント設計や電子機器の組み込みソフトウェア、半導体関連、生産設備関連の技術者を中心に売上高は2ケタ成長が続いた。
利益面では、増収効果に加えて新卒スタッフの派遣単価が1割程度上昇し、早期配置が進むなど稼働率が高水準で推移したことや、販管費の効率化に取り組んだことにより3期ぶりの増益に転じた。
離職率が前期の22%から16%に低下したことも収益力向上に寄与した。
キャリアカウンセリングやテクノカウンセリング窓口を設置するなど、サポート体制を強化した効果が出た格好だ。
新卒採用者数は88名(前期58名)と目標の100名には届かなかったものの、前期比では採用活動を強化したことにより大幅に増やすことができた。
一方で、中途採用者数は47名(同40名)と目標の80名に届かず厳しい採用環境が継続しており、事業拡大に向けた課題となっている。
期末人員数(限定正社員、契約社員含む)は前期末比13.4%増の524名となった。
(3) 海外事業
海外事業の売上高は前期比21.8%増の2,709百万円、セグメント利益は同47.5%増の73百万円と2期連続の増収増益となり、過去最高を更新した。
タイにおける自動車生産が2022年は前年比11.7%増、2023年1~3月は前年同期比5.8%増と回復傾向が続いたことで派遣需要が拡大したほか、為替が円安※に推移したことも増収要因となった。
利益面では、高収益案件の派遣増員に伴う収益の改善に加えて、社会保険料率軽減措置により社会保険料が20百万円程度減額されたことも増益要因となった。
タイ子会社における平均派遣従業員数は前期比5.5%増の3,119名となり、今後についても3,000名前後の水準を維持して、利益確保を優先する事業運営を継続する方針だ。
※2022年3月末レート3.6円/THBに対して、2023年3月末は3.8円/THB。
(4) その他事業
その他事業の売上高は前期比34.2%増の1,005百万円、セグメント利益で同87.7%増の210百万円となった。
コロナ禍の収束により現場改善コンサルティング及び研修サービスの引き合いが増加したほか、新工場立ち上げ支援サービスも3件受注し、コンサルティング事業の売上高が前期比1.5倍増の154百万円となった。
また、外国人雇用管理サポート事業も外国人の入国制限緩和により、エンジニア及び技能実習生の受入れ配置が進んだことで、同1.5倍増の295百万円となった(外国人受託人数は前期末の814名から1,067名に増加)。
利益面では、収益性の高い両事業が好調に推移したことにより大幅増益となった。
なお、新工場立ち上げ支援サービスは受注先が新規顧客であり、海外から国内への生産回帰を目的としたプロジェクトである。
サービス内容としては、経験を積んだ同社の技術者が工場の設計・建築の段階で専門業者からの提案を精査し、工場仕様、環境評価、面積生産性など詳細にわたり指南するほか、TPS(トヨタ生産方式)に基づいた生産性の高いレイアウト設計や構内物流整備など生産準備の支援も行う。
さらに、リアルタイムで現場が見える生産管理システムの構築や、要員の確保並びに生産の早期立ち上げ支援、請負サービスによる継続的な現場改善活動に至るまでトータルで提供するワンストップサービスであり、競合他社にはない同社独自の付加価値サービスとして強化する方針である。
コンサルティングやシステム構築などはコンサルティング事業、派遣や請負サービスについてはインソーシング・派遣事業または技術者派遣事業の売上として計上する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
2. 事業セグメント別動向
(1) インソーシング・派遣事業
インソーシング・派遣事業の売上高は前期比10.9%増の25,283百万円、セグメント利益は同5.1%増の1,441百万円と2期連続の増収増益となり、過去最高を更新した。
利益率はFun to Funにおける採用コストや会計処理方法変更に伴う退職給付費用の増加を主因として、前期の6.0%から5.7%と若干低下した。
平山単体の業績は増収増益となり、営業利益率も前期並みの水準を維持したと見られる。
自動車部品関連や住宅設備関連において一部生産先送りによる収益圧迫があったものの、製造請負の現場改善効果が29百万円の増益要因となったほか、新規に受注した高単価案件に人員配置できたこと及びハイエンド技能人材教育に注力した結果、顧客ニーズに適合した人材配置をできたことが増益要因となった。
一方、Fun to Funについては売上高で前期比4.1%増の5,280百万円と3期ぶりに過去最高を更新したものの、経常損失で48百万円(前期は12百万円の利益)と3期ぶりに損失計上となった。
Fun to Funは主に食品・小売業界向けに展開しているが、派遣の約4割を外国人スタッフが占めている。
コロナ禍で外国人スタッフの採用が難しくなるなか、増加する求人に対応するため単価の高い日本人スタッフを採用せざるを得ず、売上総利益率の低下と採用コストが増加し収益が悪化した。
ただ、入国規制の解除により外国人スタッフの採用環境が改善してきたほか、収益性の低い取引先の見直しや派遣単価の値上げ交渉を進めるなどして、足元の収益は回復傾向となっている。
なお、同事業セグメントにおける新規採用者数は、新卒社員が415名(前期は520名)、中途採用が4,440名(同5,238名)となり、期末人員数(限定正社員、契約社員含む)は前期末比3.9%増の7,027名となった。
売上動向を業界別で見ると、自動車部品関連は前期に引き続き部品供給制約による生産先送りの影響があったものの、トヨタグループを中心とした挽回生産による業務量の拡大により、売上高は前期比2ケタ増となった。
医療機器・医薬品関連は主要顧客となるテルモ向けを中心に堅調に推移し、建設機械・特殊車輛、小売・ホテル、物流関連も2ケタ増と好調に推移した。
また、注力分野と位置付けている半導体・電子部品関連も、大手半導体ウェーハメーカーなど新規顧客の獲得に成功し順調に増加した。
特に、半導体関連については専門人材の育成を強化するため、研修センターを2カ所(南関東研修センター、神奈川研修センター)開設し、半導体製造ラインのオペレーターや製造装置の保全を行うフィールドエンジニアの育成に注力しており、今後の成長が期待される。
一方、売上高が減少した業界を見ると、低採算顧客との取引見直しにより食品関連が前期比1割減となったほか、デジタル関連もオフィス機器メーカー向けの受注低迷により減少した。
また、住宅設備関連も輸出向けの減少により下期に失速した。
(2) 技術者派遣事業
技術者派遣事業の売上高は前期比21.8%増の2,676百万円、セグメント利益は同890.9%増の64百万円となった。
慢性的な技術者不足を背景に、プラント設計や電子機器の組み込みソフトウェア、半導体関連、生産設備関連の技術者を中心に売上高は2ケタ成長が続いた。
利益面では、増収効果に加えて新卒スタッフの派遣単価が1割程度上昇し、早期配置が進むなど稼働率が高水準で推移したことや、販管費の効率化に取り組んだことにより3期ぶりの増益に転じた。
離職率が前期の22%から16%に低下したことも収益力向上に寄与した。
キャリアカウンセリングやテクノカウンセリング窓口を設置するなど、サポート体制を強化した効果が出た格好だ。
新卒採用者数は88名(前期58名)と目標の100名には届かなかったものの、前期比では採用活動を強化したことにより大幅に増やすことができた。
一方で、中途採用者数は47名(同40名)と目標の80名に届かず厳しい採用環境が継続しており、事業拡大に向けた課題となっている。
期末人員数(限定正社員、契約社員含む)は前期末比13.4%増の524名となった。
(3) 海外事業
海外事業の売上高は前期比21.8%増の2,709百万円、セグメント利益は同47.5%増の73百万円と2期連続の増収増益となり、過去最高を更新した。
タイにおける自動車生産が2022年は前年比11.7%増、2023年1~3月は前年同期比5.8%増と回復傾向が続いたことで派遣需要が拡大したほか、為替が円安※に推移したことも増収要因となった。
利益面では、高収益案件の派遣増員に伴う収益の改善に加えて、社会保険料率軽減措置により社会保険料が20百万円程度減額されたことも増益要因となった。
タイ子会社における平均派遣従業員数は前期比5.5%増の3,119名となり、今後についても3,000名前後の水準を維持して、利益確保を優先する事業運営を継続する方針だ。
※2022年3月末レート3.6円/THBに対して、2023年3月末は3.8円/THB。
(4) その他事業
その他事業の売上高は前期比34.2%増の1,005百万円、セグメント利益で同87.7%増の210百万円となった。
コロナ禍の収束により現場改善コンサルティング及び研修サービスの引き合いが増加したほか、新工場立ち上げ支援サービスも3件受注し、コンサルティング事業の売上高が前期比1.5倍増の154百万円となった。
また、外国人雇用管理サポート事業も外国人の入国制限緩和により、エンジニア及び技能実習生の受入れ配置が進んだことで、同1.5倍増の295百万円となった(外国人受託人数は前期末の814名から1,067名に増加)。
利益面では、収益性の高い両事業が好調に推移したことにより大幅増益となった。
なお、新工場立ち上げ支援サービスは受注先が新規顧客であり、海外から国内への生産回帰を目的としたプロジェクトである。
サービス内容としては、経験を積んだ同社の技術者が工場の設計・建築の段階で専門業者からの提案を精査し、工場仕様、環境評価、面積生産性など詳細にわたり指南するほか、TPS(トヨタ生産方式)に基づいた生産性の高いレイアウト設計や構内物流整備など生産準備の支援も行う。
さらに、リアルタイムで現場が見える生産管理システムの構築や、要員の確保並びに生産の早期立ち上げ支援、請負サービスによる継続的な現場改善活動に至るまでトータルで提供するワンストップサービスであり、競合他社にはない同社独自の付加価値サービスとして強化する方針である。
コンサルティングやシステム構築などはコンサルティング事業、派遣や請負サービスについてはインソーシング・派遣事業または技術者派遣事業の売上として計上する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)