Carolina Mandl
[ニューヨーク 25日 ロイター] - 米金融大手ゴールドマン・サックス(GS)が今週前半に発表した投資家向けリポートによると、ヘッジファンドによる生活必需品銘柄の売買スタンスが欧州と米国の株式市場でそれぞれ逆方向になっていることが分かった。今月に入って以降、欧州では買いを入れているものの、米国では減量薬が食生活に与える影響への懸念から売りを出している。
欧州でヘッジファンドは、イスラム組織ハマスとイスラエルの武力衝突に加え、景気の先行き不透明感から、ディフェンシブ投資戦略を強化する一環として、ポートフォリオに生活必需品銘柄を加えたという。
同リポートは「今月に入って以降、欧州市場では生活必需品セクターの買い越しが最も大きい」と指摘。必需品でない裁量消費関連の銘柄は景気の下振れの影響が大きくなりがちのため「売り越している」と分析した。
一方、米国市場では「必需品セクターは売り越しが最大だ。空売り(ショートセール)が信用買い(ロングバイ)を上回っている影響が大きい」という。減量や糖尿病治療で使われるGLP―1受容体作動薬の薬物群への需要増加が悪材料となり、必需品セクター投資への懸念が強まっているためという。
米国では治療薬「オゼンピック」や「ウゴービ」、「マンジャロ」などの処方が急激に増加している。この影響でスーパーからビールメーカーまで小売り業種の銘柄は売り圧力にさらされ、年初以来の米消費財セクターは約8%下落した。ただ、一部のヘッジファンドは、こうした新しい減量薬を巡る地合い変化を過剰反応と受け止めている。