Niket Nishant Lananh Nguyen
[27日 ロイター] - 米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が保有するJPモルガン株の一部を2024年に売却する。18年弱のCEO在任中に売却するのは初めて。
JPモルガンが27日に当局に提出した書類によると、ダイモン氏と家族が保有する計860万株のうち100万株を売却する意向だ。
26日の終値に基づくと、売却額は1億4100万ドル近くとなり、残る株式の価値は10億7000万ドル相当になる。LSEGのデータによると、JPモルガンの時価総額は4090億ドルを超えている。
JPモルガンは売却の目的が「資産の分散と税金対策」とし、ダイモン氏は「会社の先行きは引き続き非常に力強いと確信している」とコメントした。
米経済誌フォーブスはダイモン氏の純資産を約17億ドルと推定している。
オピマスのオクタビオ・マレンツィCEOは、ダイモン氏の資産がJPモルガン株に集中していることを踏まえると、「完全に理にかなっている」動きと指摘。ただ、投資家は悪い兆候とみなす可能性もあるという見方を示した。
米株式市場ではJPモルガンの株価は2.5%超下落した。
JPモルガン株を保有するザックス・インベストメント・マネジメントの顧客ポートフォリオマネジャー、ブライアン・マルベリー氏は「通常、CEOやインサイダーが株を売却すると懸念が高まるが、JPモルガンのバランスシートは依然堅調で、自社株売却のタイミングや動機について懸念していない」と述べた。
JPモルガンの広報は、今回の売却はリーダーシップの継承とは無関係と説明した。また、ダイモン氏は足元追加で株式を売却する予定はないとしつつも、将来的には売却を検討する可能性もあるとした。
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨ氏はメモで、「ダイモンCEOが退任に近づいていることへの注意喚起となる。CEOとしての5年計画で残された時間はあと3年半だ」と指摘した。
ヘネシー・ファンズのポートフォリオマネジャー、デイブ・エリソン氏は「ダイモン氏が近い将来にCEOを退くという十分な証拠はないが、在任中初の自社株売却であることを踏まえ、後継者計画が注目されるだろう」と述べた。ヘネシーもJPモルガン株を保有する。
JPモルガンの株価は今年に入ってから5%上昇し、15.3%下落したS&P500銀行株指数を大きく上回っている。