Davide Barbuscia Carolina Mandl
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)は国債取引の中央清算機関処理拡充を狙った規則を準備しているが、金融業界はヘッジファンドなどが中央清算機関経由で取引を行う場合、どの程度担保を差し入れる必要があるかに注目している。
近く発表される見込みの規則は、米国債の現物・レポ取引で中央清算機関の利用を拡大する内容。
中央清算機関経由の取引では市場参加者が証拠金、ヘアカットとも呼ばれる担保を差し入れる必要がある。比率は米国債の中央清算機関の証券取引清算機関(FICC)が設定するとみられる。
背景には、レポ市場でヘッジファンドの多くが担保ゼロで取引していることがある。規制当局は、システムにリスクが蓄積し、市場にストレスが生じた場合にポジションの無秩序な解消が起こり金融の安定を脅かす可能性を懸念している。
ただ、こうした規制は取引コストを増大し市場流動性を低下させる可能性もある。米連邦準備理事会(FRB)エコノミストの最近の論文は、仮に最低ヘアカットが200ベーシスポイント(bp)だとするとヘッジファンド側の負担は124億ドル増えレバレッジが低減すると指摘している。
業界では、ヘアカットゼロの慣行は不健全だとしてSECの動きに賛同する声がある一方、一部投資家に対し垣根を高くしてしまい米国債の流動性改善や強靭性確保という目標にそぐわないとの指摘もある。