Marc Jones
[ロンドン 27日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)に承認された欧州初の格付け会社、独スコープ・レーティングスの主要ソブリンアナリスト、デニス・シェン氏はロイターのインタビューで、ユーロ圏の危機対応能力が向上していることに従来よりも重点を置いて格付けを行っていく方針を示した。
ECBは、金融機関から受け入れる担保としての適格性をユーロ圏各国の国債が満たしているかどうかを判断する際、これまで米国とカナダの格付け会社4社を利用してきた。これにスコープが加わって5社となり、将来の金融危機に際してはスコープが重要な役割を果たす可能性がある。
15年前のユーロ圏債務危機では、S&P、ムーディーズといった米格付け会社による国債の格下げが混乱に拍車をかけたとされ、ユーロ圏の政策当局者にとって欧州系格付け会社の参入は悲願でもあった。
シェン氏は「わが社の際立った特徴の1つは、欧州の制度が複数の改善を遂げていることに重点を置くということだ」と述べ、一例として、新型コロナウイルスのパンデミックに伴ってユーロ圏が導入した支援策は今後も遺産として残ると指摘した。
ただ、ユーロ圏が共同債を発行するなどして全力でコロナ禍に対応したことで、各国は多額の負債を抱え込むことにもなった。シェン氏は特にイタリアについて、格付け見通しは「安定的」としたものの「リスクは残る」とくぎを刺した。
またスコープはフランスの格付け見通しを「悲観的」とし、格付けを現行のAAから引き下げる可能性を示唆している。
シェン氏はオランダの選挙で極右政党が第1党となったことについても、長期的に見れば同国の格付けを脅かす恐れがあると指摘した。同国は最上級の「AAA」格付けを得ている世界でも数少ない国の一つ。