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イード Research Memo(5):2024年6月期は期初計画を据え置き、2ケタ増収増益を目指す

発行済 2024-03-25 14:05
更新済 2024-03-25 14:16
© Reuters.
*14:05JST イード Research Memo(5):2024年6月期は期初計画を据え置き、2ケタ増収増益を目指す ■業績動向

2. 2024年6月期の業績見通し
イード (TYO:6038)の2024年6月期通期の業績見通しは、売上高で前期比10.3%増の6,700百万円、営業利益で同14.3%増の650百万円、経常利益で同14.7%増の650百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同46.3%増の410百万円と期初計画を据え置き、売上高、営業利益、経常利益で過去最高更新を目指す(期中にM&Aを実施した場合の効果は含まず)。
前述のとおり、第2四半期は前年同期比で増益となるなど回復トレンドに転じており、第3四半期以降にネット広告の市場環境が再び悪化するようなことがなければ、計画達成は可能と弊社では見ている。


2024年6月期の重点施策として、メディア運営プラットフォーム「iid-CMP」のすべての工程にAI技術を導入し、生産性向上を実現していく取り組みを始めた。
新たに組織化したAI専門チーム「IID AIrticle Lab(イード アーティクル ラボ)」が中心となって進めている。
現状は、情報収集やコンテンツ制作(生成AIの活用による業務負荷軽減)、編集(AIによる文章チェック)までの工程にAI技術を導入済みで、今後、配信や収益化(AIによる広告配置や配信の最適化)の工程についても導入を進めていくことにしている。
既に生産性向上の効果は確認されており、余剰となった人的リソースについては、サブスクサービスなど注力事業に再配置していくことにしている。
2023年12月末における制作・編集部門の従業員数は全体の25.7%を占め、前年同期の29.0%から若干低下した。


また、ネット広告に依存した収益構造からの脱却を進めるべく、メディアコンテンツ制作の軸足をPV数重視の速報ニュースから、会員獲得や課金につながるコンテンツへとシフトしているほか、Web上のコンテンツだけでなくイベントやセミナーなどオフラインも含めた価値提供にも注力しており、こうした取り組みにより収益基盤も安定化していくと予想される。
会員獲得では、自動車総合情報サイト「Response」でビジネス会員が2万人(無料会員含む)を突破した。
有料会員向けのビジネスセミナーや調査レポートなども好評で、サブスクの売上も順調に拡大している。
オフラインのイベント・セミナーでは自動車分野でMaaSや次世代モビリティに関するセミナーを開催し、スタートアップ企業などとのネットワークを構築しているほか、教育分野では国際教育への関心の高まりを背景に、2024年2月に「リセマム国際教育フェスタ」をオンライン・オフライン両方で開催し、国際教育を展開する企業や学校が多数出展した。
そのほかエンタメ分野では、新たな収益源として育成すべく、「エンタメプリント」に注力している。


一方、ネット広告に関しては主要ブラウザでクッキーレス環境が広がっており、最大シェアであるGoogleの「Chrome」でも2024年後半からクッキーの利用が大幅に制限される見込みである。
こうした環境変化によってターゲティング広告の費用対効果の低下が懸念されており、その対応が求められている。
同社は無料会員の獲得やアンケート、イベント参加情報などで収集する膨大なデータを基に、適切なユーザーターゲティングが可能な広告商材を投入していくことにしている。
無料会員の獲得に注力するのも、こうした環境変化へ備えることが理由の1つである。


そのほか新たな取り組みとして、2023年10月に国内最大級の総合映画メディア「シネマトゥディ」を運営するシネマトゥディと戦略的資本業務提携を開始したことを発表した。
同メディアはX(旧twitter)やLINE公式チャンネル、Youtubeチャンネルなども開設しており圧倒的なリーチ力を持っている。
年間売上規模は数億円程度と見られ、従業員数は17名(2023年12月1日現在)である。
提携発表後、「iid-CMP」によるコスト最適化を支援しているほか、営業部門の協業及びオフィスも2024年1月に同社拠点に統合したことから、いずれはグループ化すると予想される。
今回の提携によって同社グループは、映画、アニメ、ゲーム分野で延べ月間2,000万人がアクセスする国内最大規模のエンタメメディア群を有することになる。
同社ではこれらエンタメ領域でデジタルを中心としたマーケティング支援を行うと同時に、「エンタメプリント」や同じ仕組みを活用した「映画前売券付きブロマイド」などIPを軸とした新たな事業を育成していくことで、収益拡大を図る。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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