[29日 ロイター] - ロシアと貿易を行う中国企業の間で、代金決済を国境沿いの小規模な銀行を通じて行うほか、中国では違法な暗号資産(仮想通貨)を含めた地下金融ルートも活用する苦肉の策が広がっていることがロイターの取材で分かった。
背景には、従来は代金決済業務を主に担っていた中国の大手銀行のリスク回避がある。ロシア軍のウクライナ侵攻に伴って米国が金融制裁を発動しているためで、大手銀行は今年3月以降、対ロ貿易決済に絡む制裁対象指定を回避するため、関連取引の精査を強化したり、業務を完全に停止したりしている。
広東省に拠点を置くある家電メーカー創業者はロイターに対し、電気製品の代金決済は国境近辺で暗躍する通貨ブローカーを利用していると証言した。ある南東部の省の貿易団体トップは「地下ルート経由の中ロ取引は増える見通しだ」と話した。ただ、リスクは非常に大きいと懸念していた。
一方、ロシアと国境を接した中国東北部の地方銀行数行では依然、対ロ輸出代金の回収業務が可能という。
モスクワに拠点を置くロシアの銀行経営者は「中国の銀行では大小を問わず、(対ロ貿易決済に絡んだ)KYC(顧客の本人確認)をパスすることは不可能」と明かした。仮想通貨が唯一の決済手段となる可能性があるという。
中国の4大銀行が最近、当局に提出した報告書によると、中国建設銀行は昨年、ロシア子会社の資産を14%減らし、中国農業銀行も7%削減。ロシア軍のウクライナ侵攻後に増やしたロシア関連事業資産の圧縮に転じた。ただ、中国工商銀行は43%急増し、対照的だった。中国銀行は内訳を明らかにしていない。