*15:23JST プロHD Research Memo(3):顧客企業のDX戦略策定から実行・改善までを一気通貫で支援
■プロジェクトホールディングス (TYO:9246)の事業概要
1. 事業領域
同社グループは、2024年12月期第1四半期末には同社及び連結子会社7社((株)プロジェクトカンパニー、(株)DCXforce、プロジェクトテクノロジーズ、アルトワイズ、プロジェクトHRソリューションズ、(株)ポテンシャル、Dr.健康経営)であったが、同第2四半期からはプロジェクトテクノロジーズのアルトワイズへの吸収合併、プロジェクトHRソリューションズの売却を実施し、同社及び連結子会社5社の体制としている。
事業領域としては、「デジタルトランスフォーメーション事業」「DX×テクノロジー事業」「DX×HR事業」の3セグメントを通じて、DXに関わる業務支援サービスを提供している。
同社グループでは事業会社においてデジタルを活用した事業開発や運用改善によりビジネスを拡大することをDXと捉え、顧客企業のDX戦略策定から体制構築、システム開発、運用改善までを一気通貫で支援している。
デジタルトランスフォーメーション事業では、新規事業開発や既存事業変革などのコンサルティングサービス、自社モニターを活用したユーザーテストによりWebサイトやアプリのUI(ユーザーとの間に現れるサービスやプロダクトの外観)やUX(ユーザーがプロダクトやサービスから得られる体験)を評価するUIscopeサービス、広告代理店と事業会社の間でデジタルマーケティング領域の全体戦略の策定・実行を支援するマーケティングサービスを手掛けている。
2022年4月より参入したDX×HR事業では、テクノロジー業域を中心に採用代行などを行うHRソリューションサービス、産業医マッチングサービスを主に企業の健康経営を支援するヘルスケアサービスを行う。
2022年10月から開始したDX×テクノロジー事業では、エンジニア人材によるシステム開発やソフトウェアテストのサービスを提供している。
2024年12月期第1四半期のセグメント別売上高及び売上総利益の内訳を見ると、デジタルトランスフォーメーション事業が売上高の74.4%、売上総利益の74.2%を占め、同社の主力事業であることを示している。
DX×テクノロジー事業が売上高の17.0%、売上総利益の10.2%を、DX×HR事業が売上高の8.6%、売上総利益の15.5%を占めた。
それぞれの売上総利益率は、デジタルトランスフォーメーション事業が37.9%、DX×テクノロジー事業が23.0%、DX×HR事業が68.5%となった。
DX×テクノロジー事業はエンジニア派遣での2次請け・3次請けの受注もあって、利益率が低い。
DX×HR事業は、顧客からの収入と医師への支出の差額を収益基準でネット計上しているため、利益率が高い。
2. デジタルトランスフォーメーション事業
コンサルティングサービス、マーケティングサービス、UIscopeの3サービスを提供しており、主な関係会社はプロジェクトカンパニーとDCXforceである。
コンサルティングサービスでは、DXを通じた新規事業開発や既存事業変革、業務改善の支援を行っている。
新たな収益源の創出を求め新規事業開発を望む顧客に対し、同社は事業立ち上げのために検討すべき事項を洗い出し、DXの観点から事業スキームを検討・整理するなどの支援を行っている。
顧客の既存事業についても、デジタルを活用した事業変革により業績計画の達成等を支援する。
業務改善の観点からはRPA(定型化されたデスクワークをロボットが代行)・BI(事業上の意思決定のために情報分析して得られる知見)ツールの導入や、全社でのDX文化浸透のための組織変革など、生産性向上のための支援を行っている。
企業におけるデジタル化ニーズを的確に捉えて案件を受注することで、コンサルティングサービスの売上高は創業以来拡大を継続している。
マーケティングサービスでは、X(旧Twitter)やInstagram等のSNS運用支援、Webサイト改善、マーケティングコンサルティングのサービスを提供する。
SNS運用支援では顧客のSNSを通じたブランディング・集客促進を、Webサイト改善では集客や販売促進につながるWebサイト・LP(商品・サービスの問い合わせ受け付け、集客に特化したWebページ)の改善をそれぞれ行う。
マーケティングコンサルティングでは、デジタルマーケティングにおける戦略検討から実行まで支援し、カスタマージャーニーの整理や広告出稿媒体ごとの戦略、KPI設計、訴求内容の仮説検証等を担っている。
UIscopeサービスでは、UI/UX(UIはWebサイトのデザインやフォント等のユーザーの視覚に触れる情報、UXはユーザーが製品・サービスを通して得られる体験を指す)のためにUIscopeを活用し、サービス体験の改善・設計を支援する。
UIscopeはスマートフォンアプリ・サイトに特化したもので、テストユーザーであるUIscopeモニターの操作を録画し、その行動を解析することでUI/UXを改善するサービスである。
これまでの案件実績を蓄積した改善ノウハウをもとに、定性的なユーザビリティ評価が可能なサービスとして独自性を持っており、受注案件の約8割をインバウンド(顧客からの取い合わせによる受注)で獲得している。
またスポットでUI/UXを調査・報告した顧客に向け、中長期的にサービス体験の改善支援をする提案を行うことで、UIscopeから他サービスの継続的支援へのアップセルにも成功している。
3. DX×テクノロジー事業
IT企業などを顧客として、プログラミングスキルを有するエンジニアが常駐し、システム開発・運用保守業務やソフトウェアテスト業務を支援するテクノロジーサービスを提供しており、主な関係会社はアルトワイズである。
事業会社の成長の過程では、システム開発工程において要件定義書や設計書に沿ったコーディング、システムテスト工程ではテスト項目作成・実施や抽出された不具合修正、またサービスリリース後には運用保守・機能追加開発の対応などシステムエンジニアの業務が多く発生するため、デジタルトランスフォーメーション事業で支援する新規事業開発案件の下流工程を担う形でのシナジーも顕在化している。
4. DX×HR事業
企業の人事労務部門を顧客としてHRソリューションサービス及びヘルスケアサービスを提供しており、主な関係会社はプロジェクトHRソリューションズ(2024年5月に売却済)、ポテンシャル、Dr.健康経営である。
HRソリューションサービスでは、幅広い業界の企業に対して採用戦略の調査・検討から目標設定、実際の採用業務の代行といった採用支援や、エンジニアを中心とするDX人材のスキル査定を含む人事評価制度の設計・運用や離職率引き下げ施策の検討・実行などの人事労務領域の支援を提供する。
ヘルスケアサービスでは、産業医紹介サービス「産業医コンシェルジュ」を主軸に顧客へ従業員の健康やメンタルヘルスを支援しており、ストレスチェック制度の義務化や働き方改革関連法の施行、テレワークの普及等を背景に事業を拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
1. 事業領域
同社グループは、2024年12月期第1四半期末には同社及び連結子会社7社((株)プロジェクトカンパニー、(株)DCXforce、プロジェクトテクノロジーズ、アルトワイズ、プロジェクトHRソリューションズ、(株)ポテンシャル、Dr.健康経営)であったが、同第2四半期からはプロジェクトテクノロジーズのアルトワイズへの吸収合併、プロジェクトHRソリューションズの売却を実施し、同社及び連結子会社5社の体制としている。
事業領域としては、「デジタルトランスフォーメーション事業」「DX×テクノロジー事業」「DX×HR事業」の3セグメントを通じて、DXに関わる業務支援サービスを提供している。
同社グループでは事業会社においてデジタルを活用した事業開発や運用改善によりビジネスを拡大することをDXと捉え、顧客企業のDX戦略策定から体制構築、システム開発、運用改善までを一気通貫で支援している。
デジタルトランスフォーメーション事業では、新規事業開発や既存事業変革などのコンサルティングサービス、自社モニターを活用したユーザーテストによりWebサイトやアプリのUI(ユーザーとの間に現れるサービスやプロダクトの外観)やUX(ユーザーがプロダクトやサービスから得られる体験)を評価するUIscopeサービス、広告代理店と事業会社の間でデジタルマーケティング領域の全体戦略の策定・実行を支援するマーケティングサービスを手掛けている。
2022年4月より参入したDX×HR事業では、テクノロジー業域を中心に採用代行などを行うHRソリューションサービス、産業医マッチングサービスを主に企業の健康経営を支援するヘルスケアサービスを行う。
2022年10月から開始したDX×テクノロジー事業では、エンジニア人材によるシステム開発やソフトウェアテストのサービスを提供している。
2024年12月期第1四半期のセグメント別売上高及び売上総利益の内訳を見ると、デジタルトランスフォーメーション事業が売上高の74.4%、売上総利益の74.2%を占め、同社の主力事業であることを示している。
DX×テクノロジー事業が売上高の17.0%、売上総利益の10.2%を、DX×HR事業が売上高の8.6%、売上総利益の15.5%を占めた。
それぞれの売上総利益率は、デジタルトランスフォーメーション事業が37.9%、DX×テクノロジー事業が23.0%、DX×HR事業が68.5%となった。
DX×テクノロジー事業はエンジニア派遣での2次請け・3次請けの受注もあって、利益率が低い。
DX×HR事業は、顧客からの収入と医師への支出の差額を収益基準でネット計上しているため、利益率が高い。
2. デジタルトランスフォーメーション事業
コンサルティングサービス、マーケティングサービス、UIscopeの3サービスを提供しており、主な関係会社はプロジェクトカンパニーとDCXforceである。
コンサルティングサービスでは、DXを通じた新規事業開発や既存事業変革、業務改善の支援を行っている。
新たな収益源の創出を求め新規事業開発を望む顧客に対し、同社は事業立ち上げのために検討すべき事項を洗い出し、DXの観点から事業スキームを検討・整理するなどの支援を行っている。
顧客の既存事業についても、デジタルを活用した事業変革により業績計画の達成等を支援する。
業務改善の観点からはRPA(定型化されたデスクワークをロボットが代行)・BI(事業上の意思決定のために情報分析して得られる知見)ツールの導入や、全社でのDX文化浸透のための組織変革など、生産性向上のための支援を行っている。
企業におけるデジタル化ニーズを的確に捉えて案件を受注することで、コンサルティングサービスの売上高は創業以来拡大を継続している。
マーケティングサービスでは、X(旧Twitter)やInstagram等のSNS運用支援、Webサイト改善、マーケティングコンサルティングのサービスを提供する。
SNS運用支援では顧客のSNSを通じたブランディング・集客促進を、Webサイト改善では集客や販売促進につながるWebサイト・LP(商品・サービスの問い合わせ受け付け、集客に特化したWebページ)の改善をそれぞれ行う。
マーケティングコンサルティングでは、デジタルマーケティングにおける戦略検討から実行まで支援し、カスタマージャーニーの整理や広告出稿媒体ごとの戦略、KPI設計、訴求内容の仮説検証等を担っている。
UIscopeサービスでは、UI/UX(UIはWebサイトのデザインやフォント等のユーザーの視覚に触れる情報、UXはユーザーが製品・サービスを通して得られる体験を指す)のためにUIscopeを活用し、サービス体験の改善・設計を支援する。
UIscopeはスマートフォンアプリ・サイトに特化したもので、テストユーザーであるUIscopeモニターの操作を録画し、その行動を解析することでUI/UXを改善するサービスである。
これまでの案件実績を蓄積した改善ノウハウをもとに、定性的なユーザビリティ評価が可能なサービスとして独自性を持っており、受注案件の約8割をインバウンド(顧客からの取い合わせによる受注)で獲得している。
またスポットでUI/UXを調査・報告した顧客に向け、中長期的にサービス体験の改善支援をする提案を行うことで、UIscopeから他サービスの継続的支援へのアップセルにも成功している。
3. DX×テクノロジー事業
IT企業などを顧客として、プログラミングスキルを有するエンジニアが常駐し、システム開発・運用保守業務やソフトウェアテスト業務を支援するテクノロジーサービスを提供しており、主な関係会社はアルトワイズである。
事業会社の成長の過程では、システム開発工程において要件定義書や設計書に沿ったコーディング、システムテスト工程ではテスト項目作成・実施や抽出された不具合修正、またサービスリリース後には運用保守・機能追加開発の対応などシステムエンジニアの業務が多く発生するため、デジタルトランスフォーメーション事業で支援する新規事業開発案件の下流工程を担う形でのシナジーも顕在化している。
4. DX×HR事業
企業の人事労務部門を顧客としてHRソリューションサービス及びヘルスケアサービスを提供しており、主な関係会社はプロジェクトHRソリューションズ(2024年5月に売却済)、ポテンシャル、Dr.健康経営である。
HRソリューションサービスでは、幅広い業界の企業に対して採用戦略の調査・検討から目標設定、実際の採用業務の代行といった採用支援や、エンジニアを中心とするDX人材のスキル査定を含む人事評価制度の設計・運用や離職率引き下げ施策の検討・実行などの人事労務領域の支援を提供する。
ヘルスケアサービスでは、産業医紹介サービス「産業医コンシェルジュ」を主軸に顧客へ従業員の健康やメンタルヘルスを支援しており、ストレスチェック制度の義務化や働き方改革関連法の施行、テレワークの普及等を背景に事業を拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)