プロディライト Research Memo（5）：クラウドPBXとして強みを発揮する「INNOVERA」

*18:45JST プロディライト Research Memo（5）：クラウドPBXとして強みを発揮する「INNOVERA」 ■プロディライト (TYO:5580)の事業概要

3. 業界ポジションと同社の強み
音声通信サービス市場では、固定通信の契約数減少が続く一方、モバイルや同社の扱う0ABJ番号※をIPで使える0ABJIP電話が伸びを継続している。
なかでもクラウドPBXは、直収型電話サービスや加入電話などのアナログ/ISDNから、050IP電話や0ABJIP電話などIP電話への回線面でのシフトが進み、法人向け固定電話サービスが頭打ちとなるなか、順調に伸び続けていると言われている。
これは、テレワークやフリーアドレスの定着といったオフィス環境の変化や、企業のBCP対策の強化などを背景に、ハードウェアとしてのビジネスフォンやPBXから利便性の高い固定電話とモバイルを融合させたソフトフォンやクラウドPBXへと、システム面のシフトが進んでいることが要因である。
しかし、依然ハードウェアのPBXだけを使用している企業が8割ほどあり、このためクラウドPBXは今後も着実に成長してくことが見込まれている。


※0ABJ番号：03や06などから始まる10桁の固定電話番号のこと。
なお、IP電話を通じて0AB-J型番号を取得することもでき（0ABJIP電話）、その場合、電話加入権の購入は必要ない。



音声通信サービス市場で、法人向けという切り口でシステムを提供する企業は幅広く存在する。
電話交換機型やH/W※1型のシステムを提供している企業は重電メーカーなど大手企業に多く、モバイルで固定電話のシステムを使えるようにしたFMC（Fixed Mobile Convergence）型はモバイル大手、よりクラウドを活用したオフィス用途型やスマートフォン特化型、高機能が必要なクラウドCC※2システム型は新興企業が多くなっている。
なかでも同社が属するオフィスなど一般企業向けクラウドPBX市場は新興の小規模企業が多く、上場企業としての規模と信頼感があるうえ、回線も端末・アプリもワンストップで提供できる企業は同社のみで、大きな強みである。


※1 H/W：ハードウェア。

※2 CC：コールセンター/コンタクトセンター。



このうち特に同社の「INNOVERA」は、FMC型に対しては固定電話とモバイルの単純な融合以上の機能を提供することができ、スマートフォン特化型に対しては固定電話の番号や機能をそのまま利用できるうえ新たに番号を増やすこともできる。
クラウドCCシステム型に対しては高度な専用システムの必要がなく、電話交換機型やH/WCCシステム型に対してはハードウェアの設置場所や専門知識、メンテナンス、導入コストなどの面で優位性がある。
このように同社の「INNOVERA」は様々なシステムに対して強みを発揮しているが、特に強みと言えるのが、ワンストップ・ソリューション、ユーザー目線で開発したことによるユーザビリティ、他社システムとの連携におけるフレキシビリティの3つだと思われる。
また、「INNOVERA」はシステムすべてがクラウドに乗っているため、機械が間に入らずノイズが少なく音質が鮮明になる、万が一問題が発生してもその場所の特定が容易でクレームが起きにくい、といった音声品質や使い勝手の面でも大きな強みを有している。


（執筆：フィスコ客員アナリスト　宮田仁光）