[日本インタビュ新聞社] - ■メガバンク、地銀、生保、商社、鉄鋼など厳選銘柄
日米のマーケットは、中央銀行の金融政策が「ハト派」か「タカ派」かと評価されることによって異なる株価反応をしてきた。「ハト派」なら半導体関連株などのグロース株(成長株)、「タカ派」なら金利敏感株や景気敏感株などのバリュー(割安株)とするセクター・ローテーションをセオリーとして、それが時には日替わりメニューとなるほど激変することもあった。7月相場は、これから方向性が定まってくるが、今週の当コラムでは、歴史的な円安・ドル高を前にまず緊急避難対応としてバリュー株を取り上げることとした。メガバンクを中心に景気敏感株まで網を広げマークしたい。
■銀行株は年初来高値更新もまだ低PER・PBR、高配当利回り
金利敏感株の最右翼株は、もちろんメガバンク株である。三菱UFJFGは、今年6月に入って1株純資産(1670円)をクリアしてPBRは1.03倍となったがPERは13倍台と市場予想を下回る。三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東証プライム)とみずほフィナンシャルグループ<8411>(東証プライム)は、ともにPBRは1倍を割れ、PERは11倍~13倍、配当利回りは、ともに3%超となっている。三井住友FGは、今年9月30日を基準日に1対3の株式分割を予定している。
地銀株も、前週末28日に年初来高値を更新した銘柄は少なくないが、そのなかで割安放置が目立つのは金融持ち株会社化した地銀株や経営統合した地銀株である。例えばしずおかフィナンシャルグループ<5831>(東証プライム)は、前週末28日に2024年の持ち株会社後の上場来高値を更新したがPERは14倍、PBRは0.7倍、配当利回りは3.10%の評価でしかない。同じような評価にとどまるちゅうぎんフィナンシャルグループ<5832>(東証プライム)、東京きらぼしフィナンシャルグループ<7173>(東証プライム)、西日本フィナンシャルホールディングス<7189>(東証プライム)、三十三フィナンシャルグループ<7322>(東証プライム)、第四北越フィナンシャルグループ<7327>(東証プライム)、ひろぎんホールディングス<7337>(東証プライム)、おきなわフィナンシャルグループ<7350>(東証プライム)、あいちフィナンシャルグループ<7389>(東証プライム)、ふくおかフィナンシャルグループ<8354>(東証プライム)、フィディアホールディングス<8713>(東証プライム)などと続き、フィディアHDの配当利回り4.52%は、銀行株トップとなる。
■運用環境好転の生・損保株と景気敏感の大型株もキャッチアップ展開
金利上昇が運用環境の好転につながる生・損保株も、前週末28日に年初来高値更新銘柄が相次いだが、なお投資採算的に割安である。生命保険では日本郵政<6178>(東証プライム)、かんぽ生命<7181>(東証プライム)、第一生命ホールディングス<8750>(東証プライム)、T&Dホールディングス<8795>(東証プライム)、損保株ではMS&ADインシュランスグループホールディングス<8725>(東証プライム)、SOMPホールディングス<8630>(東証プライム)、東京海上ホールディングス<8766>(東証プライム)となり、このうちかんぽ生命と日本郵政はPBR1倍割れで配当利回りは3%超となる。またMS&ADのPERは、9.2倍と保険株で最も低評価で、配当利回りは4.05%と最も高い。
時価総額の大きい景気敏感株も追撃買いに一考余地がある。まず前週末28日にウーレン・バフェット関連人気で昨年来高値を更新した伊藤忠商事<8001>(東証プライム)に代表される大手商社株である。丸紅<8002>(東証プライム)、三井物産<8031>(東証プライム)、住友商事<8053>(東証プライム)、三菱商事<8058>(東証プライム)と並んでPERは9倍~13倍台と割り負け、配当利回りは丸紅、住友商事、三菱商事が3%台に乗せ、三井物産は前週27日に株式分割(1対2)の権利を落としたばかりである。大手鉄鋼株は、今期業績はやや伸び悩み予想にあるが、PERは6倍~10倍、PBRは1倍を割り、配当利回りは軒並み4%台上位となっている。機械株のコマツ<6301>(東証プライム)、住友重機械工業<6302>(東証プライム)、日立建機<6305>(東証プライム)も低PRR・PBRで、エネルギー関連のINPEX<1605>(東証プライム)、出光興産<5019>(東証プライム)、ENEOSホールディングス<5020>(東証プライム)も、地政学リスクの動向次第ではPBR1倍割れの株価が、居所を変える可能性がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)