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フェイスNW Research Memo(6):中期経営計画を更新し、2026年3月期に売上高40,000百万円を目指す

発行済 2024-07-08 13:46
更新済 2024-07-08 14:00
© Reuters.
*13:46JST フェイスNW Research Memo(6):中期経営計画を更新し、2026年3月期に売上高40,000百万円を目指す ■成長戦略

フェイスネットワーク (TYO:3489)は2021年12月15日に公表した中期経営計画「NEXT VISION 2025」の進捗状況を踏まえ、2023年5月15日に同計画を「NEXT VISION 2026」へと更新した。
「NEXT VISION 2025」の振り返りとしては、売上高はおおむね計画どおりで進捗するなか、デザイン性と居住性を両立させた開発物件が高い評価を獲得した。
資材価格の高騰等による原価上昇を一定の範囲でコントロールできたことにより、各段階利益について2期前倒しの達成となった。
「NEXT VISION 2026」の基本方針では、「市場ニーズに合致した不動産商品の開発・事業展開による新たな顧客層の獲得」「開発物件の大型化と物件価値の最大化による収益力の更なる向上」「持続的な成長を反映した株主還元強化」「持続可能な経営基盤の構築」を掲げている。
また、数値計画としては、最終年度である2026年3月期に売上高40,000百万円、営業利益5,400百万円、経常利益5,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,400百万円を掲げている。


「NEXT VISION 2026」における重点施策は以下のとおりである。


(1) 商品開発・事業展開の多様化による新たな顧客層の開拓
商品開発・事業展開の多様化による新たな顧客層の開拓として、不動産STO(セキュリティ・トークン・オファリング)分野への参入と不動産小口化商品「GrandFunding」の販売強化を掲げている。
2023年5月には、第1種金融商品取引業として登録された証券会社とセキュリティ・トークン(ST)のプラットフォームを自社開発するシステム会社をグループ傘下に持つ金融持株会社であるHash DasH Holdingsへの株式出資契約を締結した。
これにより、不動産STO分野への参入を実現し、安定した物件供給先の確保と新たな顧客層の開拓、不動産テック領域への進出を目指す。
「GrandFunding」は、「任意組合型」という特性を持っているため、投資家は現物不動産所有と同様に不動産税制の適用も受けることができる。
対象物件は、入居需要が高い城南3区の人気エリアの物件であり、ワンストップサービスを提供することで運用コストを抑制し高い利回りを確保している。
これにより、投資家にとって魅力的なリターンを生み出すことを実現していく。


(2)「GranDuo」シリーズの大型化と物件価値の向上
「GranDuo」シリーズを筆頭として、開発物件の大型化により一棟当たりの収益性向上を目指す。
2023年3月期の竣工物件の平均販売価格7.1億円を、2026年3月期には12.5億円にまで引き上げる計画だ。
また、最適なボリュームプランの開発を推進していくほか、賃貸物件でのウェルビーイングな暮らしを実現するため、快適な空間や体験価値の提供に注力していく。
ワンストップサービスの強みを生かした入居者視点での空間づくりを推進するとともに、様々なサービスを導入し、入居者の利便性や満足度を高めることで、物件の魅力を向上させる。
そのほか、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)認証を取得した物件の開発を推進することで、環境に配慮した建物の開発や省エネルギー対策の推進を行い、持続可能性の観点からも評価される物件を目指す。


(3) 高級賃貸レジデンスの開発
新型コロナウイルス感染症拡大を経て、賃貸住宅においても在宅時間を贅沢に過ごせる空間への需要や、広く快適な住環境を求める賃貸需要が増加している。
また、訪日外国人の増加に伴う需要増も見込まれる。
同社では、これらの需要に対応するため、中低層型の高級賃貸レジデンスの開発を推進している。
需要が見込まれるエリアを厳選し、従来の「GranDuo」シリーズとは一線を画した大規模かつグレード感のある高級賃貸レジデンスを提供する。
同社が需要に応じた開発を行うことで、付加価値の向上や競争力の強化が期待できると弊社では見ている。
また、中低層型の高級賃貸レジデンスというセグメントに注力することで、他の競合企業との差別化や収益性の向上につなげられると考える。


(4) 適正な利益分配による株主還元の強化
同社は、2023年5月に業績連動型の配当方針への変更を公表した。
配当性向35%以上という具体的数値による目標を掲げ、利益の増加を通じて株主価値を高めることを目指していく。
配当性向目標を織り込んだ2026年3月期の配当は120.0円を見込んでおり、配当方針の変更による配当性向目標の設定は、将来的な成長に応じた配当の増加を期待させる。
また、必要に応じて自社株式を取得することも検討しており、資本効率の向上や経営環境の変化に柔軟に対応するとともに、株主還元の充実を図っていく。


(5) ワンストップサービス体制の充実による経営基盤の強化
同社では、物件開発力を強化するために優れた人材を確保することを重視している。
優秀な設計や施工担当者を採用し、物件の品質向上と開発スピードの加速を図る。
また、M&Aを含めたリソースの拡充を通じて、設計や施工の体制を強化する。
適切な資源の配置とパートナーシップの構築により、効率的かつ高品質な物件開発を実現する。
加えて、施工部隊の教育研修体制を整備し、技術力や品質管理の向上を図る。
継続的なスキルアップや最新技術の導入によって、施工品質の向上と競争力の維持を目指す。
社内DXに関しても、引き続き推進していく方針であり、Salesforceの活用による情報共有と業務効率化のさらなる促進を図る。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

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