[日本インタビュ新聞社] - (決算速報)
アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は10月11日に24年11月期第3四半期累計連結業績を発表した。大幅増益だった。医薬事業における薬価上昇、HBC・食品事業における自社企画化粧品や輸入化粧品の販売好調などが牽引した。そして通期の利益予想を上方修正(6月26日付に続いて2回目)し、大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は戻り高値圏で上げ一服の形となったが、上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。
■24年11月期3Q累計大幅増益で通期利益予想を2回目の上方修正
24年11月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比3.4%増の420億77百万円、営業利益が2.9倍の20億01百万円、経常利益が2.6倍の20億15百万円、親会社株主帰属四半期純利益が5.4倍の11億38百万円だった。
大幅増益だった。医薬事業における薬価上昇、HBC・食品事業における自社企画化粧品や輸入化粧品の販売好調などが牽引した。
ファインケミカル事業は、売上高(外部顧客への売上高)が3.6%増の152億09百万円、営業利益(全社費用等調整前)が1億14百万円の損失(前年同期は1億36百万円の利益)だった。医薬品原料部門は売上面が堅調だったが、利益面は輸入品原価上昇や人件費増加などにより低調だった。CDMO(医薬品開発製造受託)部門は専門的研究人材の増員により受託キャパシティを拡大しつつ、大手新薬メーカーからの受注拡大や受託案件の利益率向上を推進した。またペプチド基幹原料「疎水性タグ」の販売により、中分子原薬のプロセス開発案件の受注を拡大した。
HBC・食品事業は、売上高が16.0%減の106億22百万円だが、営業利益が108.6%増の3億98百万円だった。不採算だった一般用医薬品等卸売事業からの撤退により大幅減収だが、化粧品通販の自社企画化粧品「ピュレア」や輸入化粧品「Torriden」の販売が好調に推移したことなどで営業損益が大幅に改善した。
医薬事業は売上高が20.6%増の84億61百万円、営業利益が161.2%増の10億83百万円だった。22年12月に発売した抗真菌薬であるルリコナゾール軟膏・クリームが伸長し、23年7月に帝人ファーマより承継したボンアルファ・ボンアルファハイも好調だった。また、同業他社の一部製品販売中止に伴う代替需要としてゲンタマイシン硫酸塩軟膏やピコスルファートナトリウム内用液などの販売も伸長した。さらに利益面では、24年4月の薬価改定において一部製品が不採算品再算定および基礎的医薬品指定を受けたことが寄与した。
化学品事業は売上高が22.7%増の77億59百万円、営業利益が6億72百万円(同48百万円の損失)だった。表面処理薬品部門では半導体電極形成用薬品や電子部品の受動部品向けめっき薬品の需要が伸長した。表面処理設備部門では工場拡張に伴って受注・生産件数が増加した。
その他事業(人材事業、ふるさと納税事業、投資事業等の新規事業)は、売上高が23百万円(同6百万円)で、営業利益が1億02百万円の損失(同77百万円の損失)だった。
なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が134億26百万円で営業利益が4億54百万円、第2四半期は売上高が146億65百万円で営業利益が8億91百万円、第3四半期は売上高が139億86百万円で李業利益が6億56百万円だった。
通期連結業績予想は10月11日付で売上高を据え置き、各利益を上方修正(6月26日付に続いて2回目の上方修正)は、売上高が23年11月期比10.6%増の575億円、営業利益が77.3%増の20億円、経常利益が46.6%増の20億円、親会社株主帰属当期純利益が3.2%増の12億円としている。配当予想は据え置いて23年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。予想配当性向は60.0%%となる。
前回予想(6月26日付の修正値、売上高575億円、営業利益16億円、経常利益16億円、親会社株主帰属当期純利益8億円)に対して営業利益を4億円、経常利益を4億円、親会社株主帰属当期純利益を4億円それぞれ上方修正した。なお特別利益では前期計上の固定資産売却益が剥落する。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は戻り高値圏で上げ一服の形となったが、上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。10月11日の終値は504円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円02銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS719円53銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約207億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)