[日本インタビュ新聞社] - ■トランプ氏支持率上昇でNYダウ最高値、金価格も高騰
どうも「もしトラ」らしい。あと2週間後の11月5日に迫った投票の米国の大統領選挙である。内外のメディア報道やマーケットコメントでは、トランプ前大統領の支持率が、盛り返して当選確実になったとの観測がしきりである。これを歓迎しているのか、ダウ工業株30種平均(NYダウ)は、前週末18日も連日の史上最高値追いとなり、「トランプ・トレード」の再燃もいよいよ現実味を帯びてくるようである。
■予測不可能な政治手法が世界に与える影響に注目
しかしである。権威主義国家の独裁者とも平気で握手する「ディール(取引)」を得意技に予測不可能と評価される政治手法を採るトランプ前大統領である。ウクライナ、中東、さらにアジアの台湾、北朝鮮にまで拡散している地政学リスク一つをとっても、収束に向かうどころか、さらに分断を煽ることにならないか余計な心配もしたくなる。ここは「トランプ・トレード」とともに、「トランプ・リスク」も頭の隅のどこかにとどめておかなくては、足をすくわれないとも限らない。
それもあるのかないのか、金先物価格が、NYダウ同様に連日、史上最高値を更新中だ。前週末18日には、ニューヨク商品取引所の金先物価格は一時、1トロイオンス=2735.5ドルまで買い進まれた。金は、金融商品としては金利がつかないデメリットはあるものの、その希少性と美しさから物理的に一定の価値を保持する安全資産とされて「有事の金買い」を誘発し、また世界中の中央銀行が準備資産としても保有する「無国籍通貨」ともいわれてきた。もう一つの安全資産とされる米長期国債が、売られているのとは対照的な今回の最高値追いは、地政学リスクのヘッジとして安全資産需要が強まっているうえに、FRB(米連邦準備制度理事会)や欧州中央銀行(ECB)が、政策金利引き下げステージにおり、金利のつかない金のデメリットが相対的に低下していることが背景にある。
ということは、「もしトラ」となれば、金がさらに一段高、二段高する可能性もあることになる。その一つが、金の2大需要国といわれるインド、中国の動向である。インドでは、今年7月に金の輸入関税とキャピタルゲイン課税の税率が緩和され金の輸入増加につながっている。一方、中国では、トランプ前大統領が対中国関税率を60%に引き上げるとブラフを掛けている。これが、「台湾有事」などの最悪シナリオで経済制裁による資産凍結にまで発展するようなら、中国のドル離れ、金選好が一気に加速する展開も想定されることになる。
■日米選挙イベント前夜、リスク回避と資産防衛が鍵
選挙イベントは、米国ばかりではない。わが日本も、米国大統領選挙より9日早い10月27日に衆議院議員選挙の投開票日を迎える。大手メディアの序盤の情勢分析では、自民党の過半数割れとの調査結果も出ており、「政治とカネ」の問題が逆風となっているようで、総選挙後に自民党内の「石破下ろし」や来年の参議院選挙を見据えたかつての「ねじれ国会」の再現などの政局不安のカゲがチラつくかもしれない。自民党総裁選挙で大逆転劇を演じた「石破マジック」の再現を期待したいところだが、とにかく「政治の一寸先は闇」といわれているからどう転ぶかは不透明である。日米の選挙イベントに関連して「トランプ・トレード」、「石破トレード」の一方、「トランプ・リスク」、「石破リスク」にも目配りは怠れないことになる。となれば、ここでリスク回避に軸足を置く投資スタンスとして、資産防衛策が浮上するはずである。
資産防衛銘柄といえば、まず当コラムで再三取り上げており恐縮だが、安全資産の金関連株である。また「天は自ら助くる者を助く」で相場波乱時に自己株式を取得して下値抵抗力を発揮する自己株式取得銘柄も外せない。代表株は、取得枠を1000億円以上と設定しなお取得途上にある主力バリュー株である。金関連株と自己株式取得株の二刀流打法で活路を切り拓き「資産防衛策は最大の資産形成策」となる展開を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)