人工知能（AI）チップの大手メーカーであるNvidiaは、同社の先進AIチップ「H20」の中国での価格を引き下げ、中国のテクノロジー企業Huaweiが製造する競合チップのコスト以下に位置づけたと報じられている。この動きは、市場でH20チップが余っており、需要が不足していることを示すものだ。今回の値下げは、AIチップの輸出に対する米国の制裁や競争の激化など、エヌビディアが中国で直面している困難を浮き彫りにしており、2024年度の売上高の17％を占める市場での事業を脅かしている。
AIチップ業界で大きなシェアを持つ同社は、中国への最先端半導体の輸出を禁じた米国の制裁を受け、2022年後半に中国専用の3つのチップを発表した。H20チップは、中国で入手可能な最も強力なNvidia製品であるため、特に重要である。しかし、情報筋はこのチップの供給過剰を報告しており、中国企業による最強のAIチップであるファーウェイのAscend 910Bと比べて10％以上のディスカウントでの販売につながっている。
水曜日に行われたエヌビディアの第1四半期決算説明会では、上級幹部が制裁措置により中国での事業が大幅に減少したことを認めた。彼らは、中国市場は今後も厳しい競争が続くと予想している。アナリストたちは、エヌビディアが中国で成功するための重要な要因と見られているH20チップの性能を注視している。将来の見通しは、つい最近Nvidiaに挑戦し始め、今年Ascend 910Bチップの出荷を大幅に増やすと予想されているHuaweiとの戦いにどう臨むかにかかっているかもしれない。
ファーウェイはこの件についてコメントしていない。政府調達データは、NvidiaのH20に比べ、ファーウェイの910Bチップへの関心の高さを示唆しているが、このデータが市場の需要を完全に表しているとは限らない。米国の制裁措置により、NvidiaのH800およびA800チップは、H100やB100といった他の先進的な製品ラインとともに、中国でも禁止されている。
H20チップは先月、アリババ（NYSE:BABA）が3万ユニット以上を発注したと報じられるなど、中国で広く入手できるようになった。中国のサーバー販売業者は、H20を1枚あたり約10万元で販売しており、ファーウェイの910Bは1枚あたり12万元以上となっている。これらの価格は注文サイズによって異なる可能性がある。
SemiAnalysisの創設者であるDylan Patel氏は、2024年後半には100万個近いH20チップが中国に出荷される見込みであり、Nvidiaは価格面でファーウェイとの競争力を維持しなければならないと指摘した。パテル氏はまた、H20はメモリ容量が大きいためH100よりも製造コストが高いにもかかわらず、半額で販売されており、Nvidiaの利益率が大幅に低下していることを示した。
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