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泉州電業 Research Memo(2):オリジナル商品で差別化を図り、3年連続で最高益を更新(1)

発行済 2025-01-06 16:12
更新済 2025-01-06 16:15
© Reuters.
*16:12JST 泉州電業 Research Memo(2):オリジナル商品で差別化を図り、3年連続で最高益を更新(1) ■会社概要

1. 会社概要
泉州電業 (TYO:9824)は電線の総合専門商社で、独立系では業界トップクラスである。
その歴史は古く、創業は1947年に遡る。
仕入先は約250社であり、大手は言うに及ばず、国内の電線メーカーの半分以上と取引がある。
在庫商品アイテム数は約5万点と、国内における商品の調達力は抜きん出ている。


2. 沿革
同社の歴史は古く、1947年に西村電気商会として創業した後、全国及びアジア諸国へと業容を拡大してきた。
2024年10月末時点のグループ全体での従業員数825名、国内連結子会社7社、海外連結子会社7社(タイ1社、中国2社、台湾1社、フィリピン1社、ベトナム1社、米国1社)、国内拠点18ヶ所を擁する。


株式については、1991年6月に大阪証券取引所市場第2部(特別指定銘柄)へ上場した。
その後2002年11月に東京証券取引所(以下、東証)第2部へ上場し、さらに2017年11月には東証第1部へ指定替えとなった。
現在は東証プライム市場に移行している。


3. 事業内容
(1) 仕入先と販売体制
同社は電線の総合専門商社で、独立系では業界トップクラスである。
仕入先は約250社であり、国内の電線メーカーが中小企業を含めて約400社あるなかで、同社は半分以上のメーカーから仕入れていることになる。
在庫商品アイテム数で約5万点と、国内における商品の調達力は抜きん出ている。
主な仕入先はSWCC (TYO:5805)の販売会社SFCC(株)、住電HSTケーブル(株)である。


販売体制については、国内で支店・営業所合わせて18ヶ所を有し、各支店・営業所に物流センターを併設し、営業社員200名体制で全国展開している。
また、加工品の工場(外注工場を含む)を納入先の近隣に設けるなど、「必要な商品を、必要な分だけ、必要なときに届ける」というジャスト・イン・タイムのデリバリー体制及び在庫管理能力を強みとしている。
在庫水準に関しては「0.8ヶ月以内」と厳しい社内規定を設けて、銅相場の変動に対応できるよう適正在庫水準を常に維持している。
顧客は電材販売業者及びメーカー、電気工事会社など約3,700社に上り、最大の顧客先の売上構成比は約3%、上位10社合計でも約15%程度と、特定の顧客に対する依存度が低く、幅広い顧客と取引を行っているのが特徴である。


(2) 販売経路
同社の販売経路は、「直需」「電材」「電設」の3つに分けられる。


「直需」は、電気や機械の製造業者、自動車関連企業などに同社が直接販売するルート。
これらの向け先に対しては、電線メーカーが直接販売するケースもある。


「電材」は、電設資材販売業者向けのルート。
この電設資材業者から電気工事業者に販売され、さらに上記の電気や機械の製造業者、自動車関連企業などに販売されるケースもある。


「電設」は、同社から一般的な電気工事業者に販売されるルートだ。


2024年10月期における、各販売経路の割合は、電材が46.4%、直需が26.3%、電設が22.3%であった。


(3) 商品別構成比
2024年10月期の商品別の売上高構成比(単体ベース)は、電力用ケーブルが38.4%と最も大きく、次いで機器用・通信用電線が32.9%、汎用被覆線10.0%、その他電線5.1%、非電線13.6%となっている。


同社の商品別の売上高構成比を業界全体の構成比と比較すると、機器用・通信用電線及び電力用ケーブルの比率が高い。
これは業界合計では比率の高い輸送用電線(主に自動車用ワイヤーハーネス)を同社では手掛けていないことによる。
輸送用電線を除いた業界合計の構成比は機器用・通信用電線が約20%、電力用ケーブルが約33%であるが、電力用ケーブルが同社と同程度である一方、機器用・通信用電線については同社の構成比が高くなっており、この点が同社の特徴と言える。


(4) 業界シェア
同社の業界シェアは、同社が関わる需要部門である「建設・電販部門」で見ると約15%(同社推定)になる。
同業はメーカー系の商社が多く、独立系の上場企業では同社のみである。


電線業界では現状、電力ケーブル分野における価格競争が続いており、同分野を手掛けている独立系商社にとっては厳しい状況が続いている。
経営体力がなく、差別化できる商材を持っていない電線商社は、大手メーカー系商社の傘下に吸収・統合されるといった傾向が続いているようである。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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