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冨士ダイス Research Memo(7):業務効率化、成長分野の新製品開発、グローバル展開を推進(3)

発行済 2025-01-06 16:37
更新済 2025-01-06 16:45
© Reuters.
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*16:37JST 冨士ダイス Research Memo(7):業務効率化、成長分野の新製品開発、グローバル展開を推進(3) ■冨士ダイス (TYO:6167)の中長期の成長戦略

(2) 省資源関連
省資源・環境負荷低減で注目されるのが省タングステン・コバルト合金である。
超硬合金では比重が高く適用が困難とされている回転工具分野(粉砕回転刃、ハンマー)への展開を目指している。
モータの負荷軽減による電力削減や回転数の増加による生産性向上が見込める製品で、今後の展開としては、市場のニーズを捉えラインナップを増やすことを検討している。
また中国が2024年8月15日にレアメタル輸出規制強化を発表(9月15日実施)、ゲルマニウムに加えアンチモンを規制対象に追加した。
タングステンやコバルトなどのレアメタル供給リスクが高まっており、同社の事業継続を確実なものとする背景につながる可能性もある。


(3) 次世代エネルギー関連
次世代エネルギー関連では、人工ダイヤモンドなどの製造に使われる超高圧発生用工具を用い、超高圧合成技術を使った触媒の開発並びにその触媒を実際に使用するための粉末冶金技術により様々な製品が開発され、客先評価が進みつつある。


同社は超高圧合成技術を生かし、水素発生用触媒の開発、またこの触媒を使い粉末冶金技術を用いてニッケルの中にこの触媒を混ぜ込んで電極化(PME:Powder Metallurgy Electrode、粉末冶金電極)することに成功した。
従来の貴金属酸化物触媒は高価であるため、費用対効果に優れた代替触媒が求められていたものの、効率が悪いなどで利用が進まなかった。
同社はAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物を用いることで、従来の貴金属酸化物触媒と同等以上の高い触媒活性を持ち、触媒反応条件下で安定性が高く使用寿命が長い費用対効果に優れた水素発生用触媒の開発に成功した。


同社はこの触媒だけでなく同社の粉末冶金技術を使ってニッケルの中にこの触媒を混ぜ込むことに成功し、実際に水素発生装置に組み込まれる電極として製品化した。
この電極についても特徴がある。
従来の電極は、多孔質合金やスポンジ状の金属担体を用いて表面積を大きくしていたが、効率上十分ではなく、また金属担体上に触媒層を形成した場合も剥離することが課題だった。
しかしこの電極は同社の有する金属粉末を圧粉成形する技術で高い表面積を持ち、担体中に触媒を分散させ剥離による劣化も起こらない電極となっている。
さらに、通常は電極を作製する場合はプレス成形の後に焼成を行うが、圧粉成形を焼成しない/従来よりも低温での熱処理を行うことで、高い電気化学的な活性を有する電極が得られることとなった。
これにより、使用用途として水電解水素製造装置だけでなく、金属空気二次電池にも応用が可能となった。
今後、PMEのさらなる大判化や複合化なども進め、2027年までに製品化を実現するとしている。
資源エネルギー庁が2024年9月に発表した水素政策において、世界の水素等需要量が2050年にかけて約5倍に拡大する予測(国際エネルギー機関(IEA)による)が示されており、製品化に期待がかかる。


(4) リサイクル
同社は企業価値の向上と持続可能な社会の発展に向けて、サステナビリティ基本方針に基づいた取り組むべき10項目の優先課題(マテリアリティ)を特定した。
その中で自然環境配慮として省資源化への取り組みを挙げている。
具体的には超硬原材料のリサイクル率向上、省レアメタル新開発材料の市場展開、廃棄物削減、環境負荷物質の管理(PRTR対象化学物質)及びリサイクル率向上を掲げている。
実際に廃棄物削減や省資源を目的に、日々製品の長寿命化・省資源化に努め、(一社)日本機械工具工業会が定める環境調和製品の認定を受けている製品もある。
省タングステン・コバルト合金の拡販によるレアメタル使用量の低減にも取り組んでいる。
また、リサイクル事業の立上げに向けて事業化を検討している。


3. 海外事業の強化
同社はこれまでも海外事業の強化を重点施策に挙げてきたが、必ずしも計画どおりに推移せず、売上高構成比は目標の20%に達していない。
新中期経営計画で成長をけん引するのは海外事業と位置付け、改めて2027年3月期に売上高構成比25%以上とする目標を掲げた。
2024年3月に中国の東莞に営業拠点を設けたほか、インド拠点の再開、電池・モーターコア金型向けに米国展開も見据え、拠点設置も視野に入れ推進する。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

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