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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆パーフェクト・ストーム到来の韓国経済◆

発行済 2017-01-15 09:50
更新済 2017-01-15 10:00
【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆パーフェクト・ストーム到来の韓国経済◆


〇加速する韓国危機〇

韓国経済研究院の権泰信・院長は「消費、投資、輸出の3本の成長の柱が崩壊する『パーフェクト・ストーム』が到来している」と述べた。
8日にシカゴで開催された韓米経済学会主催の朝食会での発言で、韓国国内で訴えたものでないことが、今の韓国国内の政情を物語る(報道は朝鮮日報)。


権院長は、「GDPに占める家計債務の割合が1996年には44%だったが、2015年には85%に達し、赤字世帯の割合が96年の16.7%から15年21.3%に高まり、家計には消費余力が無い」と述べた。
生産年齢人口が減少に転じており、「当面は活力が見出せない」。
また、「経済政策不確実性指数」が通貨危機時の150から現在は約420に、3倍近く上昇。
政治の不確実性から投資も上向かないと示した。
輸出競争力も、世界貿易の+3%に対し、+0.8%に止まり、通貨危機時の伸び率2-3倍から著しく低下しているとした。
9日、大韓商工会議所が発表した製造業約2400社の第1四半期景況観指数は昨年第4四半期を18ポイント下回る68まで低下した(基準値100)。
60台まで低下したのは、通貨危機時、リーマン・ショック時に次ぎ3回目。
「景気が悪化する」と回答した企業は45.1%、「好転する」13.4%の3倍以上。


こういった危機感が韓国国民に向けて、あまり訴えられていないが、もっと重要な点がある。
韓国の「共産主義の防波堤」としての軍事的地位が急速に低下している点だ。
今や38度線が最前線ではない。
北朝鮮が飛び道具を手にし、中国が海・空軍を強化して強引な動きをしていることで、日米韓の軍事協定は急速に意味を失いつつある。
日本が偽の慰安婦象問題などで、通貨スワップ協議を中止するなど強硬姿勢に出たのもそれが背景にあろう。
ビジネスマン・トランプ新大統領が在韓米陸軍を引き揚げたとしても不思議ではない。
仲間は多い方が良いが、日米が高コストを掛けて韓国を守る意義が失われつつある点に、韓国国民が気付いていないようだ。


日本にとっては、本日打ち上げられる世界最小のミニロケット(電柱ロケット)の方が重要だ。
搭載されるのは高さ35センチ、重さ3キロの超小型衛星で、地球を回る軌道に投入し、地上とのデータのやり取り、地上撮影の実験が行われる。
コストは約4億円、従来の大型ロケットの数十分の一。
数年の準備は不要で、軌道も自由だ。
広範囲な海洋域やミサイルの監視に投入される公算は大きい。
同時に、トランプ新政権は日本の防衛費拡大(欧州並みのGDP比2%か)を要求してくるであろう。
日韓離反は日本の防衛関連強化につながる。


昨年、韓進海運破綻で海運市況が急騰し、日本の海運株は安値圏から脱出した。
同様に、現代、ポスコなどの経営危機に広がれば、競合する日本の重厚長大産業に追い風になる公算がある。
エレクトロニクス産業は設備機器や電子部品供給で相互依存関係にあるので複雑だが、サムスン電子は韓国経済と遊離した面がある。


韓国の市民運動を見ていると、日韓併合前の李王朝時代(清の属国的地位)に戻るような主張に映る。
揺れ動く韓国は、皮肉にも北朝鮮の在り方を劇的に変える可能性もある。
韓国進出企業(代表は東レと看做される)は混乱余波のリスクがあるが、全般に静かな日本の評価向上となる公算があり、朝鮮半島情勢を注視したい。



以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/1/11号)

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