[東京/ソウル 4日 ロイター] - 鬼木誠防衛副大臣は4日午後に記者会見し、北朝鮮が同日発射したのは弾道ミサイル1発で、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと明らかにした。日本政府は大使館ルートを通じ、北朝鮮に抗議した。
韓国軍合同参謀本部は、平壌市近郊の順安区域から正午ごろ、飛翔体の発射を検知したと説明した。順安は3月24日に北朝鮮が「新型」大陸間弾道ミサイル(ICBM)と称する「火星17」が発射された場所だ。
鬼木副大臣によると、北朝鮮は午後0時02分ごろ、東方向へミサイルを発射。防衛省は最高高度は800キロ程度、飛行距離は約500キロと推定している。現在のところ航空機や船舶の被害は確認されていない。
鬼木副大臣は、これまでの弾道ミサイル発射も含め一連の北朝鮮の行動は日本や地域の安全を脅かすものであり「断じて容認できない」と強調した。
岸田文雄首相は訪問先のローマで記者団に対し、北朝鮮を強く非難するとし、「引き続き米国等ともしっかり連携しながら、国民の安全のために万全を期していきたい」と話した。
鬼木副大臣は「いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく」と語った。
<軍備拡張の動き>
今回の発射は、「新型戦術誘導兵器の発射実験」(朝鮮中央通信)を行った4月16日から3週間弱、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領の就任を5月10日に控える中で実施された。
北朝鮮は今年、ミサイル発射を頻繁に実施、3月には2017年以来となるICBMの発射を再開した。
金正恩朝鮮労働党総書記は、朝鮮人民革命軍創建90年に当たる4月25日、核兵器の開発を加速すると表明した。
韓国軍合同参謀本部は「最近の一連の北朝鮮による弾道ミサイル発射は朝鮮半島のみならず国際社会の平和と安定にとって深刻な脅威だ」として北朝鮮にミサイル発射の即時停止を求めた。
韓国大統領府は、発射を強く非難。尹氏の政権移行チームも発射を非難するとともに、そのような行為に厳格に対応し、「より基本的な抑止措置」を策定する方針を示した。
米国も発射を非難。国務省報道官は「北朝鮮が最近実施した少なくとも3発のICBM発射実験と同様に、今回の発射は国連安全保障理事会決議に明確に違反する」とし、北朝鮮に対し核・ミサイル開発計画を巡る協議に戻るよう改めて呼びかけた。
米軍は、今回の発射は「米国の領土、および同盟国の領土に対する直接的な脅威にはならないと判断しているが、状況を引き続き監視する」とする声明を発表。北朝鮮に対し、不安定化につながる行動を控えるよう求めた。