[ロンドン 27日 ロイター] - 英スーパーマーケット大手テスコ、セインズベリー、アスダ、モリソンズ各社の幹部は27日、英下院のビジネス・通商特別委員会で、生計費の危機に便乗して「暴利をむさぼっている」との説を否定した。各社は、仕入れ価格の高騰を消費者に全面転嫁できていないため、収益が打撃を被っていると訴えた。
食品価格は1年余り前、ロシアのウクライナ侵攻に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱により上昇し始めた。公式統計によると、英国の食品価格は5月に前年同月比18.7%上昇。食品価格の高騰は生活水準を圧迫し、責任の所在が問われている。
労組や政治家は、スーパー各社が足元の世界的なコモディティー価格の下落を小売価格に反映するのが「あまりにも遅い」と指摘。「グリードフレーション(強欲に起因するインフレ)」を引き起こしていると非難している。
これに対し4社の幹部は下院の委員会で、各社はこの1年で利益が減少していると反論。テスコの商業ディレクター、ゴードン・ガーファ氏は「当社は(売上高)1ポンド当たりの利益が0.04ポンドだ。これが暴利の事例になるとは思えない」と述べた。
セインズベリーの商業ディレクター、ライアン・バートレット氏は、同社の売上高1ポンド当たりの利益は0.03ポンド未満だと指摘。アスダの最高商業責任者、クリス・コマーフォード氏は、利益が昨年25%減少しており暴利とは無縁だと強調した。
また幹部らは、販売価格に上限を設定する必要はないとも主張。セインズベリーのバートレット氏は「英国は世界で最も競争が激しい食品市場の一つだと考えられる」ため、価格の上限設定は無意味だとの見方を示した。モリソンズのデービッド・ポッツ最高経営責任者(CEO)は、競争が適正価格を導くと指摘した。
さらに幹部らは、エネルギー費用の上昇に加え、賃金や物流費用の増大にも対処しなければならないと説明。同時に、この10年間で英国でシェアを伸ばしているドイツのディスカウントグループであるアルディ、リディ両社との過酷な競争にも直面していると訴えた。