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トレードワークス Research Memo(2):金融業界に特化した独立系システム開発会社として成長(1)

発行済 2023-03-22 15:22
更新済 2023-03-22 15:30
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*15:22JST トレードワークス Research Memo(2):金融業界に特化した独立系システム開発会社として成長(1) ■会社概要

1. 会社沿革
トレードワークス (TYO:3997)は、現 代表取締役社長の浅見勝弘(あさみかつひろ)氏によって、証券会社のシステム開発を目的に1999年に設立された。
浅見氏は、元々外資系IT企業のエンジニアとして金融系ネットワークシステムのコンサルティング業務に携わっていたが、1990年代前半の国内の証券取引システムが米国よりも大きく遅れていたことから、国内でも先進的な証券取引システムが普及することを予見し、起業することを決断した。
金融業界向けに特化していくことを決めたのは、常に先進的なITシステムが求められる業界であり、エンジニアとして一生涯システム開発に関わるだけのモチベーションを維持することが可能と考えたためだ。


会社設立後、初めての顧客は現在も主要取引先の1社であるインターネット専業の証券会社で、インターネット証券取引システムを開発し納品した。
1990年代までの証券会社の取引システムは、その大半が大手証券会社系列のシステム開発会社で開発したものを利用していたが、2000年以降インターネットの普及とともにインターネット専門の証券会社が相次いで設立され、同社はこれら新興の証券会社を中心に受注を獲得し業績を伸ばしてきた。


提供する製品としては主力のインターネット証券取引システムのほか、ディーリングシステムや取引所売買端末、不公正取引監視システムなど証券会社のディーリング(自己売買取引)やインターネットトレーディング(委託売買取引)に関わる情報システムとなり、各種システムを顧客のニーズに合わせて提供している。
また、2007年には事業領域を拡大するため、FX取引システムを開発するワークステクノロジー(株)に資本参加し、子会社化した(2016年4月に解散、同社が事業を継承)。
2015年以降は従来の売り切り型に加えて、SaaS型サービスでの提供も開始した。
初期導入コストを低く抑える代わりに、月額利用料及び保守料で安定した収入を得るストック型に近いビジネスモデルであり、今後はSaaS型サービスに軸足を移し、収益の安定性を高める方針である。
2017年11月にはさらなる業容拡大と認知度向上による採用力強化を目的に、東証JASDAQ市場に株式上場を果たした(2022年4月よりスタンダード市場へ移行)。


また、金融業界以外の新規事業領域への展開を図るべく、2010年にセキュリティ診断事業に参入したほか、2019年よりリーガルテック領域でAIチャットボットサービス「スマート法律相談」システムの提供を開始した。
2021年にはクラウドECプラットフォーム「Emerald Blue」を開発し、同年12月にはコネクテッドコマース(株)と資本業務提携を締結したことで、先進的なデジタルプロモーションとECを組み合わせたOMOソリューションで協業を開始した。
2022年1月には暗号通貨取引システムの開発等を手掛けるCXRエンジニアリング(株)と資本業務提携を締結したほか、同年3月には開発リソースの強化と新事業領域への展開加速を目的に、大阪に拠点を置くITシステム開発会社あじょの全株式を取得し子会社化するなど、積極的な事業展開を進めている。


2. 事業内容
(1) 金融ソリューション事業
同社は証券会社向けを中心とした金融ソリューション事業が売上高の約9割を占める主力事業である。
そのほかFXシステム事業、セキュリティ診断事業、2022年12月期には新規事業として育成中のデジタルコマース事業、及び子会社であるあじょの事業を中心とするソフトウエア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業を新設し、合計5つの事業セグメントで開示している。


金融ソリューション事業の主な製品は、インターネット証券取引システム、ディーリングシステム、証券取引所売買端末、不公正取引監視システムなど証券会社向けのシステムで、なかでもインターネット証券取引システムが売上高の大半を占める主力製品となっている。
これら製品を顧客のニーズに合わせてカスタマイズして開発し、保守・運用までを行い、設立以来40社超の証券会社及び投資運用会社の取引システムを開発してきた。
ここ最近はSaaS型サービスでの利用が増えてきているが、初期導入費用と月額利用料、保守料等のバランスについては開発案件ごとに異なっている。
現在の主要顧客(売上高構成比率10%以上)は、auカブコム証券(株)、岩井コスモ証券(株)、ミンカブ・ジ・インフォノイド (TYO:4436)、松井証券 (TYO:8628)の4社で、2022年12月期はこれら合計で全売上高の58.3%を占めた。
新規顧客についても年間2~3社ペースで開拓している。


(2) FXシステム事業
FXシステム事業では、FX会社向けに主にFX取引システム及びFXチャートシステムを開発・提供している。
ヒロセ通商 (TYO:7185)や(株)DMM.com証券、(株)SBI BITSなどが主要顧客で、取引社数は15社程度となっている。
SaaS型サービスでの提供を行っており、売上高の大半がストック型収入となる。
機能拡充を進めながら顧客を開拓し、売上高は着実に拡大する傾向にある。


(3) セキュリティ診断事業
セキュリティ診断事業では、事業会社のWebサイトやネットワークにアクセスし、セキュリティ上の問題点(脆弱性)の有無を検出する診断サービスを提供している。
診断サービスはオンサイトまたはオンラインでの手動診断で行っているほか、自動診断ツール「SecuAlive」の提供も行っている。
「SecuAlive」は指定したURLに定期的に自動アクセスし、脆弱性の有無を診断する比較的簡便なサービスである。
手動診断は精緻な診断を行える。
顧客企業は人材派遣会社やEC事業者、サービス業など多岐にわたり、契約社数は30社弱となっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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