■今後の見通し
(1) 2016年5月期の連結業績見通し
タマホーム (T:1419)の2016年5月期の連結業績は、売上高が前期比2.8%増の153,700百万円、営業利益が同22.6%増の2,800百万円、経常利益が同38.9%増の2,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,000百万円(前期は641百万円の損失)と期初計画を据え置いている。
第2四半期までの売上高進捗率は38%と直近2期の平均である44%を下回り、進捗が遅れ気味となっているものの、同社では現在抱えている約6か月分ある受注残の消化ペースを速めることで計画の達成を目指していく考えだ。
具体的には、施工能力が不足気味で受注残が積み上がっている東北・北関東エリアの能力増強支援を行うことで、販売までのリードタイムを短縮していく。
なお、日銀のマイナス金利導入で住宅ローン金利も低下し、住宅市場にとっては追い風となるが、注文住宅の販売でその効果が出てくるのは2017年6月期以降となる見通しだ。
セグメント別の見通しは以下のとおり。
○住宅事業 住宅事業の売上高は前期比1.3%増の132,400百万円、営業利益は同184.6%増の2,100百万円を見込んでいる。
注文住宅における受注棟数は環境性能などをグレードアップした魅力ある商品の開発や販売体制の強化により、前期比14.2%増の8,465戸(下期は前年同期比35.4%増の4,965戸)と3期ぶりの増加を見込んでいる。
また、販売棟数は同3.5%減の7,172戸(下期は同11.9%増の4,445戸)となる見通し。
2016年1月の受注額は前年同月比で10%増と2カ月ぶりにプラスに転じるなど回復の兆しが見え始めており、今後もプラス基調が継続するかが注目される。
なお、期間限定の低価格商品については1月も約30戸の契約が決まるなど好調を持続している。
また、リフォーム事業は下期も一段の売上げ増加が見込まれる。
2015年9月以降、アフターマーケット事業部として、リフォーム課、CS営業課を全国に配置し、本社・支店合わせて約100名の営業体制を構築したことで、今後は右肩上がりの受注拡大が期待されるためだ。
同社が販売した注文住宅のうちリフォームの対象となる築10年以上の物件は、2016年5月末時点で1万戸を超え、その後も急速に増加していくことが見込まれている。
これら顧客のリフォーム需要を取り込むだけでも、成長ポテンシャルは大きいと言えよう。
○不動産事業 不動産事業の売上高は前期比10.6%増の14,300百万円、営業利益は同6.5%減の1,600百万円と増収減益を見込んでいる。
売上高は戸建分譲の販売棟数が前期比109.9%増の275戸と約2倍増となるほか、マンション販売やサブリースの伸長によって増収基調が続く見通し。
ただ、利益面では前期に計上した土地売却益がなくなることや、2016年1月に不動産仲介専門1号店となる「タマショップ新宿」の営業を開始し、先行投資費用が掛かることで減益を見込んでいる。
○金融事業 金融事業の売上高は前期比35.0%減の800百万円、営業利益は同84.2%減の100百万円と減収減益を見込んでいる。
火災保険の契約期間が2015年10月以降短縮されたことで、上期は駆け込み需要も発生し増収増益となったが、下期はその反動減が出ると見ているためだ。
ただ、一方で住宅ローン金利の低下により申込件数が増加し、手数料収入が伸びるといったプラス要因もある。
○その他事業 その他事業の売上高は前期比32.2%増の6,200百万円、営業損失は1,000百万円(前期は782百万円の損失)となる見通し。
売上高に関しては住宅周辺事業(家具販売、つなぎ融資サービス、地盤改良サービス等)の回復を見込んでいるほか、メガソーラー事業や2015年12月に上海のザ・ポートマン・リッツカールトンホテルのメインダイニングとして開業したレストラン「アラン・ウォンズ・上海」(年間売上見込み300〜500百万円)や、2016年3月に開業予定の「タマディアホテル羽田」(年間売上見込み400〜500百万円)なども売上げに寄与する。
一方、利益面ではハワイの不動産開発事業やインドでの合弁事業(戸建請負建設事業)開始に向けた経費増、「タマディアホテル羽田」の初期投資費用などにより、損失額が拡大すると見ている。
ただ、ハワイの不動産開発事業に関しては現地で開発予定であった高層コンドミニアム(39階建て)について、建物の容積率・建ぺい率などが緩和されることになったため、現在、建設計画の見直しに入っている。
39階建てというのは変わらないが、販売棟数が従来よりも2倍に増える可能性があると言う。
また、インド合弁事業も同社から現地に派遣する人選に時間が掛かっており、当初の想定よりも事業開始が1年程度遅れる見通しとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
第2四半期までの売上高進捗率は38%と直近2期の平均である44%を下回り、進捗が遅れ気味となっているものの、同社では現在抱えている約6か月分ある受注残の消化ペースを速めることで計画の達成を目指していく考えだ。
具体的には、施工能力が不足気味で受注残が積み上がっている東北・北関東エリアの能力増強支援を行うことで、販売までのリードタイムを短縮していく。
なお、日銀のマイナス金利導入で住宅ローン金利も低下し、住宅市場にとっては追い風となるが、注文住宅の販売でその効果が出てくるのは2017年6月期以降となる見通しだ。
セグメント別の見通しは以下のとおり。
○住宅事業 住宅事業の売上高は前期比1.3%増の132,400百万円、営業利益は同184.6%増の2,100百万円を見込んでいる。
注文住宅における受注棟数は環境性能などをグレードアップした魅力ある商品の開発や販売体制の強化により、前期比14.2%増の8,465戸(下期は前年同期比35.4%増の4,965戸)と3期ぶりの増加を見込んでいる。
また、販売棟数は同3.5%減の7,172戸(下期は同11.9%増の4,445戸)となる見通し。
2016年1月の受注額は前年同月比で10%増と2カ月ぶりにプラスに転じるなど回復の兆しが見え始めており、今後もプラス基調が継続するかが注目される。
なお、期間限定の低価格商品については1月も約30戸の契約が決まるなど好調を持続している。
また、リフォーム事業は下期も一段の売上げ増加が見込まれる。
2015年9月以降、アフターマーケット事業部として、リフォーム課、CS営業課を全国に配置し、本社・支店合わせて約100名の営業体制を構築したことで、今後は右肩上がりの受注拡大が期待されるためだ。
同社が販売した注文住宅のうちリフォームの対象となる築10年以上の物件は、2016年5月末時点で1万戸を超え、その後も急速に増加していくことが見込まれている。
これら顧客のリフォーム需要を取り込むだけでも、成長ポテンシャルは大きいと言えよう。
○不動産事業 不動産事業の売上高は前期比10.6%増の14,300百万円、営業利益は同6.5%減の1,600百万円と増収減益を見込んでいる。
売上高は戸建分譲の販売棟数が前期比109.9%増の275戸と約2倍増となるほか、マンション販売やサブリースの伸長によって増収基調が続く見通し。
ただ、利益面では前期に計上した土地売却益がなくなることや、2016年1月に不動産仲介専門1号店となる「タマショップ新宿」の営業を開始し、先行投資費用が掛かることで減益を見込んでいる。
○金融事業 金融事業の売上高は前期比35.0%減の800百万円、営業利益は同84.2%減の100百万円と減収減益を見込んでいる。
火災保険の契約期間が2015年10月以降短縮されたことで、上期は駆け込み需要も発生し増収増益となったが、下期はその反動減が出ると見ているためだ。
ただ、一方で住宅ローン金利の低下により申込件数が増加し、手数料収入が伸びるといったプラス要因もある。
○その他事業 その他事業の売上高は前期比32.2%増の6,200百万円、営業損失は1,000百万円(前期は782百万円の損失)となる見通し。
売上高に関しては住宅周辺事業(家具販売、つなぎ融資サービス、地盤改良サービス等)の回復を見込んでいるほか、メガソーラー事業や2015年12月に上海のザ・ポートマン・リッツカールトンホテルのメインダイニングとして開業したレストラン「アラン・ウォンズ・上海」(年間売上見込み300〜500百万円)や、2016年3月に開業予定の「タマディアホテル羽田」(年間売上見込み400〜500百万円)なども売上げに寄与する。
一方、利益面ではハワイの不動産開発事業やインドでの合弁事業(戸建請負建設事業)開始に向けた経費増、「タマディアホテル羽田」の初期投資費用などにより、損失額が拡大すると見ている。
ただ、ハワイの不動産開発事業に関しては現地で開発予定であった高層コンドミニアム(39階建て)について、建物の容積率・建ぺい率などが緩和されることになったため、現在、建設計画の見直しに入っている。
39階建てというのは変わらないが、販売棟数が従来よりも2倍に増える可能性があると言う。
また、インド合弁事業も同社から現地に派遣する人選に時間が掛かっており、当初の想定よりも事業開始が1年程度遅れる見通しとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)