■トプコンの注目すべき点2:IT農業
1. IT農業とは
IT農業は、トラクタに高精度GNSS受信機やコンソール(タッチパネル式の操作画面)を搭載することにより、画面に走行ラインを表示するガイダンスシステム及びハンドル操作不要の自動操舵システム等により農作業の効率化を実現さらに生育センサーCropSpecを搭載することにより、作物の生育状況を診断するとともにリアルタイムで作物の生育に応じた最適な肥料散布を実現している
ハンドル操作が不要である自動操舵システムを導入すると、次のようなメリットが得られるまず、システムのアシストに従って作業することでムリ・ムダ・ムラを省いて作業効率の向上を実現またハンドル操作への集中を軽減できるのでオペレーターの疲労を軽減、さらには不慣れなオペレーターでも熟練者と同じ精度での作業を実現できるトラクタ等の農業機械は国際標準規格であるISOBUS(イソバス)対応が進んでおり、ISOBUS対応の作業機をコンソールから操作できるので作業機ごとのコントロールボックスの付け替えや電源取り出しなどの配線作業が不要になるまた作業履歴の管理がUSBでできるなどPCでの管理に適している
欧米でよく見られる大規模農場においては、主に150~200馬力以上の大型トラクタに用いられているISOBUS対応の作業機を取り替えることで、様々な作業に対応できる仕組みだ米国などの農業の展示会に出展されるトラクタは、高精度GNSS受信機を搭載もしくは搭載を想定している製品が大多数である欧米の場合、農業はビジネスとして管理・運営されることが多く、費用対効果が明確に算出できることも日本より普及が進んでいる背景にあるようだ2016年度に入り日本でも北海道を中心にIT農業の導入・普及の気運が高まっており、同社製品の導入で日本の農家でも簡単に効率化・合理化が可能となる日もそれ程遠くないかも知れない
2. 主要な製品と適応作業
主な製品には、画面に走行ラインを表示するガイダンスシステムとハンドル操作不要の自動操舵システムがあるガイダンスシステムと自動操舵システムによる適応作業は、作業機を取り替えることで土を耕す作業、種をまく作業、殺虫剤を散布する作業、除草管理作業、などが挙げられるまた生育センサーCropSpecを搭載することにより、作物の生育状況を診断するとともにリアルタイムで作物の生育に応じた最適な肥料散布を実現している
3. 潜在市場
IT農機の搭載率は2000年に数%であったが、現在は30%くらいまで拡大していると同社は推定しており、将来的には約75%まで拡大すると見ているまた、同社はグローバルでの市場規模は約2,000億円と見ているようだ世界人口は増加の一途をたどっており、1人当たりの農地面積は減少、世界では食糧問題という危機に直面している食料という生命維持活動に必要不可欠なものを効率的に生産するのに同社製品は大きく貢献するだろう
4. 市場シェアと競合会社
同社の市場シェアは約20%程度で、競合では米国のJohn Deere
がトップシェア、Trimbleが続いているなお、同社はJohn Deereの建機部門と提携関係にある
5. 成長戦略
同社は、主戦場であるオートステアリングの位置情報に加え、2014年から2015年にかけてM&Aによって収穫高管理等の計量情報及びブーム高低自動制御等の機械制御技術を獲得済みであり、ポートフォリオは完成している従って欧米の農業市場の回復とともに、オーガニックなIT農業とM&Aで獲得した会社も合わせて大きく伸長するとみている現在のトラクタメーカのパートナー企業はAGCOに代表されるが、伊SAME DEUTZ-FAHR社等とも提携関係にあり、中堅の作業機メーカー等のパートナーは多数存在している同社ではOEMビジネスは拡大フェーズに入っていると考えており、今後は新たなビジネスパートナーの獲得と既存のビジネスパートナーにおける搭載車種の拡大によって大きな成長が期待される
(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)
1. IT農業とは
IT農業は、トラクタに高精度GNSS受信機やコンソール(タッチパネル式の操作画面)を搭載することにより、画面に走行ラインを表示するガイダンスシステム及びハンドル操作不要の自動操舵システム等により農作業の効率化を実現さらに生育センサーCropSpecを搭載することにより、作物の生育状況を診断するとともにリアルタイムで作物の生育に応じた最適な肥料散布を実現している
ハンドル操作が不要である自動操舵システムを導入すると、次のようなメリットが得られるまず、システムのアシストに従って作業することでムリ・ムダ・ムラを省いて作業効率の向上を実現またハンドル操作への集中を軽減できるのでオペレーターの疲労を軽減、さらには不慣れなオペレーターでも熟練者と同じ精度での作業を実現できるトラクタ等の農業機械は国際標準規格であるISOBUS(イソバス)対応が進んでおり、ISOBUS対応の作業機をコンソールから操作できるので作業機ごとのコントロールボックスの付け替えや電源取り出しなどの配線作業が不要になるまた作業履歴の管理がUSBでできるなどPCでの管理に適している
欧米でよく見られる大規模農場においては、主に150~200馬力以上の大型トラクタに用いられているISOBUS対応の作業機を取り替えることで、様々な作業に対応できる仕組みだ米国などの農業の展示会に出展されるトラクタは、高精度GNSS受信機を搭載もしくは搭載を想定している製品が大多数である欧米の場合、農業はビジネスとして管理・運営されることが多く、費用対効果が明確に算出できることも日本より普及が進んでいる背景にあるようだ2016年度に入り日本でも北海道を中心にIT農業の導入・普及の気運が高まっており、同社製品の導入で日本の農家でも簡単に効率化・合理化が可能となる日もそれ程遠くないかも知れない
2. 主要な製品と適応作業
主な製品には、画面に走行ラインを表示するガイダンスシステムとハンドル操作不要の自動操舵システムがあるガイダンスシステムと自動操舵システムによる適応作業は、作業機を取り替えることで土を耕す作業、種をまく作業、殺虫剤を散布する作業、除草管理作業、などが挙げられるまた生育センサーCropSpecを搭載することにより、作物の生育状況を診断するとともにリアルタイムで作物の生育に応じた最適な肥料散布を実現している
3. 潜在市場
IT農機の搭載率は2000年に数%であったが、現在は30%くらいまで拡大していると同社は推定しており、将来的には約75%まで拡大すると見ているまた、同社はグローバルでの市場規模は約2,000億円と見ているようだ世界人口は増加の一途をたどっており、1人当たりの農地面積は減少、世界では食糧問題という危機に直面している食料という生命維持活動に必要不可欠なものを効率的に生産するのに同社製品は大きく貢献するだろう
4. 市場シェアと競合会社
同社の市場シェアは約20%程度で、競合では米国のJohn Deere
がトップシェア、Trimbleが続いているなお、同社はJohn Deereの建機部門と提携関係にある
5. 成長戦略
同社は、主戦場であるオートステアリングの位置情報に加え、2014年から2015年にかけてM&Aによって収穫高管理等の計量情報及びブーム高低自動制御等の機械制御技術を獲得済みであり、ポートフォリオは完成している従って欧米の農業市場の回復とともに、オーガニックなIT農業とM&Aで獲得した会社も合わせて大きく伸長するとみている現在のトラクタメーカのパートナー企業はAGCOに代表されるが、伊SAME DEUTZ-FAHR社等とも提携関係にあり、中堅の作業機メーカー等のパートナーは多数存在している同社ではOEMビジネスは拡大フェーズに入っていると考えており、今後は新たなビジネスパートナーの獲得と既存のビジネスパートナーにおける搭載車種の拡大によって大きな成長が期待される
(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)