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NYの視点:ECBは焦点をユーロ安から実質経済支援へ移行、いずれリスクオンへ

発行済 2016-03-11 07:08
更新済 2016-03-11 07:33
NYの視点:ECBは焦点をユーロ安から実質経済支援へ移行、いずれリスクオンへ
欧州中央銀行(ECB)は、インフレや景気見通しのリスクが下方に傾斜したことに対応するため、期待以上に積極的な追加緩和を実施した。
追加緩和では、1)3つの政策金利を全て引き下げ、主要政策金利を従来の0.05%から0.00%へ、預金ファシリティ金利(中銀預金金利、下限)を従来のマイナス0.30%からマイナス0.40%へ、限界貸出金利(上限)を従来の0.30%から0.25%へ、それぞれ引き下げた。
預金金利の引き下げは予想されていたが、その他、2つの利下げは予想外となった。
2)量的緩和(QE)の規模を現行の各月600億ユーロから800億ユーロへ200億ユーロ増加した。
量的緩和(QE)の規模拡大に関しては、最近の良好なユーロ圏指標などを受け、一部メンバーの反対で、規模が維持されるとの思惑もあった。
QE拡大を予想していたアナリストも100億ユーロの拡大に留まると見ていた。
3)資産購入プログラムにおいて、金融以外の社債を購入対象に含めるとした。
4)流動性策として、6月から民間銀行に対する4年間の条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)を開始することを発表。
期待以上の措置を受けて、「手段が尽きた」、又は、原油安に対する過剰な対応ではないかとの懐疑的見方も浮上した。
こういった懸念に対し、ドラギ総裁は、「対応は、状況が前回の12月理事会以降著しく変わったこと、金融市場の変動率が上昇し状況が一段と悪化したことが本日の決定につながった」と答えたほか、手段が尽きたわけではないと強調。
ただ、ドラギ総裁は定例理事会後の会見で、「現在の見通しに基づくと追加利下げは予想しない」「銀行に害を与えるほど金利を引き下げることはできない」との見方を示し、「金利に下限はないとのシグナルを送りたくない」との意向を表明。
より非伝統的な措置にシフトする方針を示した。
ECBは追加緩和の一環として、資産購入プログラムの対象として非金融の社債を含めると同時に、6月から民間銀行に対する4年間の長期資金供給、条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)を開始する。
TLTROでは融資水準に基づくことを条件として加えた。
つまり、経済への融資を多く実行した銀行に対し、より多くの長期資金を供給していく。
新たな政策は、ユーロ安、市場支援から、銀行や企業、消費者といった実質経済への支援にシフトしたとの見方が多く、欧州経済にポジティブに働くと楽観視されている。
G20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)後、通貨安競争を回避する意向もあるとの見方もある。
必然的に世界経済へもプラスに働くと見られ、最終的にリスク選好の動きを助けることになると考えられる。

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