■決算動向
(3) 2017年6月期の業績予想
2017年6月期の業績予想についてアーバネットコーポレーション {{|0:}}は、売上高を前期比1.7%増の18,000百万円、営業利益を同14.7%増の2,300百万円、経常利益を同10.4%増の1,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同11.5%増の1,270百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。
増収率が緩やかになっているのは、自社開発の投資用マンション等の販売が12棟599戸(前期比59戸減)に減少する前提となっていることが要因である。
従来計画では15棟713戸を予定していたが、そのうち2物件(62戸)が工期長期化により来期にずれ込むほか、1物件(52戸)を自社保有の収益物件に変更したことが影響した。
ただ、国内外法人等への1棟一括直接販売(4棟を予定)や不動産市況を反映した販売価格の上昇により、増収を確保する見通しとなっている。
なお、注目すべきは、販売予定12棟(599戸)のうち1棟(12戸)は新たに開始するアパートとなっているところである。
また、土地転売は1物件(前期は2物件)、買取再販は3戸(前期は37戸)を見込んでいる。
利益面では、国内外法人等への1棟一括直接販売の寄与により売上総利益率が21.4%(前期は18.7%)に大きく改善する見通しである。
一方、販管費は来期に期ずれとなった分譲マンションの販売促進費が前倒しで発生することや1棟一括直接販売に係る仲介手数料等により拡大するものの、粗利益の増加により吸収することで営業増益となり、営業利益率も12.8%(前期は11.3%)に改善する想定となっている。
弊社では、今期販売予定の開発物件がアパート(1棟12戸)を除いてすべて契約済となっていることや、土地転売や買取再販の前提も固めの水準となっていることから、同社の業績予想の達成は可能であるとみている。
むしろ子会社による買取再販や、開発期間の短いアパート及び建売の追加的な販売が業績の上乗せ要因となる可能性に注目している。
(4)来期(2018年6月期)以降の業績見通し
都心における用地取得は厳しさを増しているが、これまでの積極的な用地取得により、来期(2018年6月期)の自社開発の販売予定として既に609戸(そのうち1棟49戸は分譲マンション)を確保しており、再来期以降の販売分を含めて、更なる積み増しにも取り組んでいる。
また、今期から新たに開始するアパートの開発販売が順調に立ち上がってくれば、新たな成長ドライバーとなる可能性もあり、当面は拡大基調が継続するものとみている。
ただ、弊社では、超低金利政策や相続税課税強化などを背景とした個人投資家の根強い需要や海外投資家からの強い投資意欲が続いているものの、2020年の東京オリンピックに向けて都心における不動産市況にやや過熱感がみられることに加え、足元では為替や株式など金融市場に不安定な動きがあること、さらには将来的に起こり得る循環的な景気変動の影響等を勘案して、これまでの積極的な拡大路線がやや慎重なスタンスへと転換されるシナリオも念頭に置く必要があるとみており、そのタイミングの見極めが重要なポイントになると考えられる。
また、同社は、不動産市況にやや過熱感が見られるなかで、今後は売却の時期を早めることにより価格変動リスクを回避する方針としているが、そうなることで、これまで進めてきた国内外法人向けの直接販売は一旦下火になる可能性も出てきた※。
したがって、用地取得の状況に加えて、売却ペースの変化や直接販売の動向が同社業績に与える影響にも注意する必要があるだろう。
※直接販売の場合は、竣工後の契約が一般的である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
(3) 2017年6月期の業績予想
2017年6月期の業績予想についてアーバネットコーポレーション {{|0:}}は、売上高を前期比1.7%増の18,000百万円、営業利益を同14.7%増の2,300百万円、経常利益を同10.4%増の1,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同11.5%増の1,270百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。
増収率が緩やかになっているのは、自社開発の投資用マンション等の販売が12棟599戸(前期比59戸減)に減少する前提となっていることが要因である。
従来計画では15棟713戸を予定していたが、そのうち2物件(62戸)が工期長期化により来期にずれ込むほか、1物件(52戸)を自社保有の収益物件に変更したことが影響した。
ただ、国内外法人等への1棟一括直接販売(4棟を予定)や不動産市況を反映した販売価格の上昇により、増収を確保する見通しとなっている。
なお、注目すべきは、販売予定12棟(599戸)のうち1棟(12戸)は新たに開始するアパートとなっているところである。
また、土地転売は1物件(前期は2物件)、買取再販は3戸(前期は37戸)を見込んでいる。
利益面では、国内外法人等への1棟一括直接販売の寄与により売上総利益率が21.4%(前期は18.7%)に大きく改善する見通しである。
一方、販管費は来期に期ずれとなった分譲マンションの販売促進費が前倒しで発生することや1棟一括直接販売に係る仲介手数料等により拡大するものの、粗利益の増加により吸収することで営業増益となり、営業利益率も12.8%(前期は11.3%)に改善する想定となっている。
弊社では、今期販売予定の開発物件がアパート(1棟12戸)を除いてすべて契約済となっていることや、土地転売や買取再販の前提も固めの水準となっていることから、同社の業績予想の達成は可能であるとみている。
むしろ子会社による買取再販や、開発期間の短いアパート及び建売の追加的な販売が業績の上乗せ要因となる可能性に注目している。
(4)来期(2018年6月期)以降の業績見通し
都心における用地取得は厳しさを増しているが、これまでの積極的な用地取得により、来期(2018年6月期)の自社開発の販売予定として既に609戸(そのうち1棟49戸は分譲マンション)を確保しており、再来期以降の販売分を含めて、更なる積み増しにも取り組んでいる。
また、今期から新たに開始するアパートの開発販売が順調に立ち上がってくれば、新たな成長ドライバーとなる可能性もあり、当面は拡大基調が継続するものとみている。
ただ、弊社では、超低金利政策や相続税課税強化などを背景とした個人投資家の根強い需要や海外投資家からの強い投資意欲が続いているものの、2020年の東京オリンピックに向けて都心における不動産市況にやや過熱感がみられることに加え、足元では為替や株式など金融市場に不安定な動きがあること、さらには将来的に起こり得る循環的な景気変動の影響等を勘案して、これまでの積極的な拡大路線がやや慎重なスタンスへと転換されるシナリオも念頭に置く必要があるとみており、そのタイミングの見極めが重要なポイントになると考えられる。
また、同社は、不動産市況にやや過熱感が見られるなかで、今後は売却の時期を早めることにより価格変動リスクを回避する方針としているが、そうなることで、これまで進めてきた国内外法人向けの直接販売は一旦下火になる可能性も出てきた※。
したがって、用地取得の状況に加えて、売却ペースの変化や直接販売の動向が同社業績に与える影響にも注意する必要があるだろう。
※直接販売の場合は、竣工後の契約が一般的である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)