[東京 9日 ロイター] - 加藤勝信官房長官は9日午後の会見で、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンに関し、1瓶当たりの注射回数を当初想定の6回から5回に減らすことに決め、自治体に通知する方針であることを明らかにした。その結果、予定しているワクチン確保数量では接種回数の減少に直面するため、数量確保へしっかりと取り組んでいくとした。ただ、ファイザーとの調整が必要な状況であるという。
ファイザーの想定では、ワクチン1瓶から6回分の接種が可能とされていた。しかし、日本の医療機関で使用されている注射器のシリンジ(注射筒)の構造では6回分に分けて打つことは難しく、接種可能なシリンジの国内での確保が難しいことから、1瓶当たり5回の接種にするよう地方自治体宛ての手引書の中で改定内容を連絡することにしたという。
6回分を5回分に変更した場合、当初1億4400万回分とされた接種回数が1億2000万回程度に減少するのではないかとの質問に対し、加藤官房長官は「1億4400万回の数量確保へしっかりと取り組んでいく」と表明した。同時に「ファイザーとの調整が必要な状況」とも述べており、世界的なワクチン不足問題の広がりの中で日本のワクチン接種に新たな障壁がみえた形だ。
一方、バイデン米大統領が7日放送のラジオ番組で、東京五輪・パラリンピック開催の決定は科学に基づくものでなければならないと述べ、さらに「日本の首相と話したが、安全に開催できる状態にするため首相は懸命に取り組んでいる」と発言しており、日米首脳電話会談で五輪に関する話はなかったとの日本側の説明と食い違うとの質問が出た。
これについて、加藤官房長官はバイデン大統領の発言について日本政府が解釈する立場ではないとした上で、昨年の電話会談を含め「2回の会談で五輪に関するやり取りはなかった」と語った。
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(田巻一彦 編集:田中志保)