[東京 28日 ロイター] - コマツは28日、2023年3月期の連結営業利益(米国会計基準)が前期比9.1%増の3460億円になる見通しだと発表した。資材価格や物流コストの上昇は、販売量増加や販売価格の改善、円安の影響で吸収できる見込みだという。
売上高は同7.1%増の3兆円、純利益は0.5%増の2260億円とそれぞれ予想した。為替レートは、1米ドル=118.0円、1ユーロ=129.0円を前提としている。
建設機械・車両部門におけるセグメント利益ベースでの前期との原価差はマイナス468億円、販売価格差はプラス753億円、為替差はプラス440億円となる見通し。
同部門では、ロシアを中心とする独立国家共同体(CIS)と中国での需要は減少するが、北米、アジアを中心に好調に推移するとみている。
中国市場での油圧ショベルの需要見通しは前期比30%―40%減。会見した森下正敏・経営管理部長は、建設投資関連の指標は改善しているが、需要の停滞傾向には大きな変化が見られないと説明した。
北米市場における主要7建機の需要は0―5%増と予想している。住宅・非住宅用の建設向け需要などが堅調に推移するとみているが、「金融引き締めによる金利上昇がネガティブな影響を及ぼす可能性があるため、需要動向には注視が必要」(森下氏)だという。
ロシアに関しては、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーン(供給網)の混乱などの先行きが見通せないことから、22年3月末時点での在庫、または現地へ出荷済みのもののみ販売する前提としている。
コマツは現在、ロシアでの現地生産と日本からの輸出を停止している。会見した小川啓之社長は今後の同国での事業について、現地にいる従業員の安全と雇用を守る責任があるため、「現時点では、完全撤退は考えていない」と説明。ただ、一部の業務縮小の可能性はあるとし、「これからの状況によって方針を決めていく」と述べた。
22年3月期の営業利益は前期比89.5%増の3170億円だった。建設機械・車両部門では、前期の新型コロナウイルスの影響が縮小し、一般建機・鉱山機械ともに中国以外の地域で需要が好調に推移した。
同時に発表した22年度―24年度の中期経営計画では、50年までに温室効果ガスの排出ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す方針を経営目標に新たに追加した。