[26日 ロイター] - 米アマゾン・ドット・コムは26日、スパイ映画「007」シリーズなどで知られる映画製作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)を84億5000万ドルで買収すると発表した。有料会員「アマゾンプライム」向け動画配信サービスのコンテンツを強化し、動画配信大手ネットフリックスやウォルト・ディズニーの「ディズニー+(プラス)」などに攻勢をかける。
アマゾンによる買収案件としては、2017年に総額137億ドルで買収した高級スーパーマーケットのホールフーズ・マーケット買収以来の大型案件となる。
MGM買収価格は同社の21年の利払い・税・償却前利益(EBITDA)見通しの約37倍と、プレミアムが大幅に上乗せされた。
アマゾンの動画配信「プライム・ビデオ」・番組制作「アマゾン・スタジオ」の幹部は、MGM買収によって 「高品質のストーリーを提供する好機を得る」と述べた。
MGMは1924年に創業。豊富な映画作品に加え、「ファーゴ」や「シャーク・タンク」などの人気テレビ番組も手掛けている。身売りの検討を始めた昨年12月時点、MGMは同社の価値を55億ドル相当と見込んでいた。
アマゾンの創業者のジェフ・ベゾス氏はこの日の株主総会で、MGMは多くの人に愛されている知的財産(IP)を所有していると述べ、MGMとアマゾン・スタジオの優秀な人材により、21世紀のIPを構築できると説明した。
アマゾン・スタジオをマーケットプレイス、クラウド、プライムに次ぐ事業の第4の柱と呼ぶには時期尚早だとしながらも、それに向け取り組んでいると強調した。さらに、この1年間で1億7500万人以上のプライム会員がアマゾンのコンテンツを視聴し、動画配信時間は70%増加したと説明した。
アマゾン創業日に当たる7月5日に最高経営責任者(CEO)を退任するとし、後任にはクラウド部門トップのアンディ・ジャシー氏が就くと明らかにした。
動画配信市場は急成長しており、各社はコンテンツ拡充を急ぐ。調査会社フォレスターのジム・ネイル氏は、大手スタジオやテレビネットワークがこぞって動画配信サービスに参入する中、アマゾンは動画配信サービスを一段と強化する必要があると指摘している。