■フランスベッドホールディングス (T:7840)の事業概要
3. 事業内容
(1) メディカルサービス事業
メディカルサービス事業の売上高構成比(2017年3月期)は、介護関連レンタル売上が51.0%、病院施設向け物件取引が16.5%、その他が32.4%となる。
その他には、病院・ホテル等のリネンサプライ、福祉機器等の小売及び卸売、介護のための住宅のリフォームが含まれる。
主力の介護レンタルサービスの仕組みや業界背景について述べる。
a) 介護保険制度
介護保険制度は、40歳以上の国民が納める保険料と税金で運営されている。
運営主体は、市区町村になる。
65歳以上の人が、市区町村から審査により「要介護認定」(要介護または要支援)されると、介護サービスを受けることができる。
また、40歳から65歳の人でも、初老期の認知症や脳血管疾患などの老化が原因の特定疾患により要介護、要支援状態になると介護サービスを受けることができる。
認定を受けた人は、ケアマネージャーが作成するケアプランに基づき、要介護度に応じて様々な介護サービスを受けることができる。
福祉用具貸与事業では、同社グループはメーカーとして製品の開発・生産及び商品の仕入れ、販売を行う。
また、レンタルの卸及び介護保険利用者へ福祉用具・介護用品のレンタルサービスを提供する事業者でもある。
利用者の負担額は、原則1割となる。
ただし、2015年8月から一定以上の所得のある場合、利用者負担は2割となった。
さらに、2018年8月以降は、現役並所得者の自己負担が3割に引き上げられる。
b) 福祉用具のレンタルサービス事業
福祉用具の利用者は、ケアマネージャーと相談し、レンタル契約をする。
レンタルサービス事業者は、福祉用具の配送・組立、アフターサービスをする。
契約が終了後は、貸与していた用具を回収し、洗浄・消毒・点検・修理し、保管する。
レンタルサービス事業者のビジネスモデルは、長期間の使用に耐える福祉用具を利用した、洗浄・消毒・点検・修理等のメンテナンス工程の確立、稼働率向上に向けた業務改善となる。
レンタルサービス利用者のメリットは、身体状況に最適な用具が借りられ、身体状況と合わなくなった場合はいつでも合ったもの交換できることにある。
また、利用した期間だけ利用料を払えばよい。
社会的貢献は、高齢者が住み慣れた町で暮らし続けることを可能にすることと、循環型社会を構築する3R(リデュース、リユース、リサイクル)を実現することである。
一方、レンタルサービス事業者のメリットとしては、利用者の増加に伴い収益が安定する、レンタル商材の減価償却が終了すると利益が急拡大する、顧客との信頼関係を確立すると継続的に利用されることが挙げられる。
これらの事業特性から、同社のメディカルサービス事業の売上高と収益性は安定している。
(2) インテリア健康事業
同社グループは、創業以来のベッド累計販売台数が3,300万台以上に達し、家庭用ベッドで国内トップシェアを持つ。
2017年3月期におけるフランスベッド単体のインテリア健康事業の売上高構成比は、家庭用ベッドが62.8%、家具類が4.6%、羽毛・寝具類が11.2%、健康機が8.0%、ホテル部門が8.9%、その他が4.6%であった。
ホテル部門の売上高構成比は、2016年3月期の7.3%から拡大した。
訪日外国人旅行者は年間2千万人に達しようとしており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け増加傾向が期待される。
客室ベッドの入替案件など、受注が増加傾向にあり、シティホテル等の法人需要に対して営業体制を強化している。
国内のインテリア市場は、家具購買層の減少や、大手製造小売業者(SPA)による寡占化などのため、成熟化がさらに進行する可能性がある。
家具市場は縮小傾向にある。
かつては結婚を機に、家具のまとめ買いがされた。
現在は、そのような傾向が薄れるとともに、婚姻数自体が減少している。
日本の年間婚姻件数は、団塊の世代が適齢期に達した1972年に約110万件を記録した。
2016年には約62.1万件まで低下し、ピークから約6割弱の水準となる。
年間新設住宅着工戸数は、かつて160万戸を超えていたが、現在は100万戸を割れており、2025年には60万戸台へ減少することが予想されている。
家具小売業の事業所数は、3万以上あったが、今では3分の1程度へ減少した。
一方、店舗が大型化しており、製造小売(SPA)のシェアが拡大している。
同社グループは、大手小売企業とも取引があるものの、中堅・中小家具店が減少するなどの、販売先の減少という市場の変化からの打撃を受けた。
インテリア健康事業は、2013年3月期に黒字転換を果たした。
2014年4月の消費増税前の駆け込み需要により、2014年3月期は14.9%の増収で営業利益が前期比3.9倍となった。
2015年3月期は、その反動により、減収減益となった。
2017年3月期は、家具販売店向け売上が減少し、人件費に含まれる退職給付費用が増加したため、大幅な減益となった。
2018年3月期は、受注生産対応商品の拡充、高機能・高付加価値商品の開発と拡販、高級ベッドのシティホテル等への販促に加え、自社ショールーム等を使った各種展示販売会などの催事販売の強化やeコマース向け商品の開発と新規販路の開拓により、増収増益を目指す。
市場の変化に対応し、安定的な収益性を確保するため、量から質への転換を図っている。
他社との差別化によって安定的な収益の獲得を目指す。
多品種少量生産に対応した受注生産方式を推進することで、在庫の削減と利益率の改善を図る。
家具店舗に展示される機会の少ない高級家具を、プレゼンテーションスタジオを全国に11ヶ所設けて展示スペースを確保している。
今後、需要層が拡大するアクティブシニアをターゲットするリハテックブランド商品の充実を図り、販売拠点を増加させている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
3. 事業内容
(1) メディカルサービス事業
メディカルサービス事業の売上高構成比(2017年3月期)は、介護関連レンタル売上が51.0%、病院施設向け物件取引が16.5%、その他が32.4%となる。
その他には、病院・ホテル等のリネンサプライ、福祉機器等の小売及び卸売、介護のための住宅のリフォームが含まれる。
主力の介護レンタルサービスの仕組みや業界背景について述べる。
a) 介護保険制度
介護保険制度は、40歳以上の国民が納める保険料と税金で運営されている。
運営主体は、市区町村になる。
65歳以上の人が、市区町村から審査により「要介護認定」(要介護または要支援)されると、介護サービスを受けることができる。
また、40歳から65歳の人でも、初老期の認知症や脳血管疾患などの老化が原因の特定疾患により要介護、要支援状態になると介護サービスを受けることができる。
認定を受けた人は、ケアマネージャーが作成するケアプランに基づき、要介護度に応じて様々な介護サービスを受けることができる。
福祉用具貸与事業では、同社グループはメーカーとして製品の開発・生産及び商品の仕入れ、販売を行う。
また、レンタルの卸及び介護保険利用者へ福祉用具・介護用品のレンタルサービスを提供する事業者でもある。
利用者の負担額は、原則1割となる。
ただし、2015年8月から一定以上の所得のある場合、利用者負担は2割となった。
さらに、2018年8月以降は、現役並所得者の自己負担が3割に引き上げられる。
b) 福祉用具のレンタルサービス事業
福祉用具の利用者は、ケアマネージャーと相談し、レンタル契約をする。
レンタルサービス事業者は、福祉用具の配送・組立、アフターサービスをする。
契約が終了後は、貸与していた用具を回収し、洗浄・消毒・点検・修理し、保管する。
レンタルサービス事業者のビジネスモデルは、長期間の使用に耐える福祉用具を利用した、洗浄・消毒・点検・修理等のメンテナンス工程の確立、稼働率向上に向けた業務改善となる。
レンタルサービス利用者のメリットは、身体状況に最適な用具が借りられ、身体状況と合わなくなった場合はいつでも合ったもの交換できることにある。
また、利用した期間だけ利用料を払えばよい。
社会的貢献は、高齢者が住み慣れた町で暮らし続けることを可能にすることと、循環型社会を構築する3R(リデュース、リユース、リサイクル)を実現することである。
一方、レンタルサービス事業者のメリットとしては、利用者の増加に伴い収益が安定する、レンタル商材の減価償却が終了すると利益が急拡大する、顧客との信頼関係を確立すると継続的に利用されることが挙げられる。
これらの事業特性から、同社のメディカルサービス事業の売上高と収益性は安定している。
(2) インテリア健康事業
同社グループは、創業以来のベッド累計販売台数が3,300万台以上に達し、家庭用ベッドで国内トップシェアを持つ。
2017年3月期におけるフランスベッド単体のインテリア健康事業の売上高構成比は、家庭用ベッドが62.8%、家具類が4.6%、羽毛・寝具類が11.2%、健康機が8.0%、ホテル部門が8.9%、その他が4.6%であった。
ホテル部門の売上高構成比は、2016年3月期の7.3%から拡大した。
訪日外国人旅行者は年間2千万人に達しようとしており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け増加傾向が期待される。
客室ベッドの入替案件など、受注が増加傾向にあり、シティホテル等の法人需要に対して営業体制を強化している。
国内のインテリア市場は、家具購買層の減少や、大手製造小売業者(SPA)による寡占化などのため、成熟化がさらに進行する可能性がある。
家具市場は縮小傾向にある。
かつては結婚を機に、家具のまとめ買いがされた。
現在は、そのような傾向が薄れるとともに、婚姻数自体が減少している。
日本の年間婚姻件数は、団塊の世代が適齢期に達した1972年に約110万件を記録した。
2016年には約62.1万件まで低下し、ピークから約6割弱の水準となる。
年間新設住宅着工戸数は、かつて160万戸を超えていたが、現在は100万戸を割れており、2025年には60万戸台へ減少することが予想されている。
家具小売業の事業所数は、3万以上あったが、今では3分の1程度へ減少した。
一方、店舗が大型化しており、製造小売(SPA)のシェアが拡大している。
同社グループは、大手小売企業とも取引があるものの、中堅・中小家具店が減少するなどの、販売先の減少という市場の変化からの打撃を受けた。
インテリア健康事業は、2013年3月期に黒字転換を果たした。
2014年4月の消費増税前の駆け込み需要により、2014年3月期は14.9%の増収で営業利益が前期比3.9倍となった。
2015年3月期は、その反動により、減収減益となった。
2017年3月期は、家具販売店向け売上が減少し、人件費に含まれる退職給付費用が増加したため、大幅な減益となった。
2018年3月期は、受注生産対応商品の拡充、高機能・高付加価値商品の開発と拡販、高級ベッドのシティホテル等への販促に加え、自社ショールーム等を使った各種展示販売会などの催事販売の強化やeコマース向け商品の開発と新規販路の開拓により、増収増益を目指す。
市場の変化に対応し、安定的な収益性を確保するため、量から質への転換を図っている。
他社との差別化によって安定的な収益の獲得を目指す。
多品種少量生産に対応した受注生産方式を推進することで、在庫の削減と利益率の改善を図る。
家具店舗に展示される機会の少ない高級家具を、プレゼンテーションスタジオを全国に11ヶ所設けて展示スペースを確保している。
今後、需要層が拡大するアクティブシニアをターゲットするリハテックブランド商品の充実を図り、販売拠点を増加させている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)