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ブイキューブ Research Memo(13):投資の第1次収穫を目指した2016年12月期(2)

発行済 2017-04-26 17:29
更新済 2017-04-26 17:33
ブイキューブ Research Memo(13):投資の第1次収穫を目指した2016年12月期(2)
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(2) トピックス
a) 教育関連
2016年5月には、ブイキューブ (T:3681)の子会社パイオニアVCが、文部科学省が推進する「人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上にかかる実証事業」の参画自治体である富山県南砺市に、同市内の6つの小中学校を相互接続し、電子黒板とタブレット端末を活用した遠隔協働学習を実現する仕組みとして、ビジュアルコラボレーションサービス「xSync(バイ シンク)」を提供している。
南砺市教育委員会からは同サービスに関して、教師にとっても児童・生徒にとってもわかりやすい簡単な操作性、複数校を接続してもスムーズな授業を実現できる安定性などの点で高い評価を得ているもよう。
総務省が20年までに全国すべての小・中・高校に無線LAN「Wi-Fi」を導入する方針とも一部で報じられており、同社グループのサービスにおいても、このような政策支援の動きが波及していく余地があろう。
ちなみに、会社側の資料によると、学校における遠隔教育/e-ラーニングだけをとってみても、2020年の市場規模は533億円と大きな拡大が想定されている。
さらに、国内教育関連における2020年のビジュアルコミュニケーション市場の規模は約2,568億円まで広がるとみられている。


加えて、「xSync(バイ シンク)」を利用した学習環境の安全性を向上させるため、6月からWebフィルタリング機能を追加している。
デジタルアーツの「i-FILTER ブラウザー&クラウド」を採用することで、タブレット端末を用いた校外学習や家庭での持ち帰り学習においても、児童・生徒が安全にインターネットを利用できるようにする。
教室内でのICT環境が整った学校からは、「教育上好ましくないWebサイトの閲覧を防止する仕組みを準備して欲しい」といった安全対策への要望も多かったもようだが、「i-FILTER ブラウザー&クラウド」を採用することによって、Webサイトの閲覧範囲を教師が柔軟に制御することが可能となる。
これまでの課題解決によって、「xSync」のニーズの一段の広がりにつながる可能性もあろう。


また、「xSync(バイ シンク)」と日本マイクロソフトの提供するOffice 365のクラウドストレージ「OneDrive for Business」との連携サービスを提供開始している。
教師は普段利用している「Office 365」のアカウントで、「OneDrive for Business」に保存した授業用資料の「xSync」での利用や、児童・生徒が「xSync」で提出した学習データの「OneDrive for Business」への自動保存ができるようになる。


「xSync」で実施していた授業用資料の保存や学習データの移行が不要となるため、教師の手間が軽減されるとともに、児童・生徒への学習データの配布が簡便になることから、授業中の学習データを利用した持ち帰り学習なども取り組みやすくなる。
今後は、グループ会社のアイスタディが提供する学習管理システム「iStudy LMSアカデミックエディション」との連携も進め、「OneDrive for Business」に保存されている学習データを用いた児童・生徒それぞれの学習記録を容易に管理できる仕組みなどの整備も進めていく計画だ。


b) 災害など緊急時対策における「V-CUBE」とドローン
熊本地震におけるBCP(事業継続)対策としての「V-CUBE」が、和歌山県庁で利用された。
和歌山県では、熊本地震の支援として県職員10数名を熊本県や益城町に派遣したが、その際、現地派遣職員と和歌山県庁にいる職員が場所によって異なる被害状況やガレキの処理状況など現地の様子を正確に共有して、的確な支援を図っていくため、「V-CUBE」を活用したもよう。


鮮明な映像とスムーズな音声に加えて、モバイルデバイスで現地の被害状況を動画や写真で中継しながら、ロケーションが異なる全関係者で同時に共有するWeb会議が可能となったことで、刻々と変化する現地からのニーズを的確に把握した素早い決定や報告が実施できたと和歌山県庁からは評価されたようだ。


また、業務用ドローンを利用して、災害等の緊急時対策などで、スムーズに状況確認を実現し、適切な対策がとれるサービスの提供も進めている。
西日本旅客鉄道(株) 和歌山支社では、災害発生時などの現場対応を迅速にするため、VRJのドローンソリューションを導入し、遠隔からのリアルタイム映像共有を実現している。


このように、災害対策企業としての位置づけなどが今後高まっていく可能性もあろう。


c) 第15回新株予約権発行による資金調達
同社は2016年4月15日、中期経営計画に沿って、社会インフラとしてのビジュアルコミュニケーションの事業展開を進めていくに当たって必要な将来の技術や新機能ヘのソフトウェア開発投資及び、同社が持っていない技術や事業を取り込んで成長を加速させるための買収を含む事業提携の資金確保等を目的として、メリルリンチを割当先とする行使価額調整条項付き第15回新株予約権(第三者割当て)による資金調達を行った。


その内容は、新株予約権数3万個、新株予約権1個当たり634円(発行総額19.02百万円)、行使期間:2016年4月18日~2018年4月17日、潜在株式数3,000千株、資金の調達額4,494.02百万円となっている。


潜在株式数3,000千株の上限行使価額はなく、下限行使価額は1,196円※で、下限行使価額でも潜在株式数は3,000千株と一定であるため、権利行使による希薄化率は15.90%(発行決議日現在の発行済株式総数に対する割合)。
2017年3月末までに440千株が権利行使済(平均行使価格1,212円)で、資金調達額は533.4百万円となっている。


※当初行使価額は1,494円。
ただし行使価額は、本新株予約権の各行使請求の効力発生日の直前取引日の同社普通株式の終値の91%に相当する金額に修正されるが、その価額が下限行使価額を下回る場合には、下限行使価額を修正後の行使価額とする。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)

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