[10日 ロイター] - 調査会社ピッチブックによると、米国のプライベートエクイティ(PE)の2019年1─9月の資金調達は1910億ドルで、既に2018年通年の水準に近づいている。
第3・四半期には、ブラックストーン (N:BX)の260億ドルの買収ファンドや、ビスタ・エクイティ・パートナーズの160億ドルのファンドなど、一部の大手PEが資金調達を完了した。
これにより、資金を集めたファンドの数は前年比18%減の131となったものの、調達額は前年比38%増加した。
堅調な資金調達についてピッチブックは、米中貿易摩擦を受けて景気減速懸念が高まる中、PEが割安案件を見つけて有効に資金を運用できるとの投資家期待を反映している、と指摘した。
一方で投資家は、どのPEに資金をまわすかより慎重になっているという。
ピッチブックのアナリストは「景気後退(リセッション)となれば、現在のポートフォリオ企業の価値は損なわれるかもしれないが、潤沢な手持ち資金があるファンドには買い機会が生まれる」と指摘した。
年初から9月までに完了した案件は3883件(5012億ドル)で、前年同様に好調。
一方、売却した企業の数は726社(2220億ドル)で、前年比19.5%減少した。
ピッチブックは、第3・四半期にかけてみられる売却案件の低迷について、貿易戦争の激化や国内外の経済問題が理由かもしれない、と指摘した。