[北京 15日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は15日、全銀行を対象に預金準備率を0.25%ポイント引き下げると発表した。預金準備率の引き下げは今年初めて。この措置で約5300億元(832億5000万ドル)の長期流動性を市中に供給し、減速する経済を支える。
引き下げは4月25日から実施する。一部の小規模銀行には、追加で0.25%ポイント引き下げる。
預金準備率の引き下げは予想されていた。中国国務院(内閣に相当)が13日、預金準備率(RRR)引き下げなどの政策手段を適切に実施して経済を支援するとしていた。
しかし、市場ウォッチャーからは、政策金利引き下げ余地は限られているとの指摘もでている。米国など主要国中銀が利上げに向かう中、追加緩和策は資本流出を招く可能性がある。
人民銀は15日午前、期日を迎えた1年物中期貸出制度(MLF)融資をロールオーバーしたが金利は据え置いた。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミストは、引き下げ幅が市場予想以下だったとし、「現段階で経済への重要度はそれほどでもない」と指摘。新型コロナウイルスのオミクロン株とロックダウン政策が経済の主な課題で、流動性拡大は一部の助けになるかもしれないが、根本的な解決にはならないとの見方を示した。
中国銀行は引き続き流動性を幅広く安定させ、インフレ動向や主要国の政策変更を注視するとした。
人民銀によると、省内だけで営業する商業銀行や準備率が5%以上の地域銀行は追加で0.25%の引き下げが可能。
引き下げ後の加重平均準備率は8.1%となる。
野村の中国担当チーフエコノミストは、年末までに準備率はさらに0.25%ポイント引き下げられ、可能性としては年央までに準備率が比較的高い一部大手銀を対象にすると予想。「MLF、再貸付、再割引などで中小企業、農業部門、グリーン投資、ハイテク、高齢者介護への直接信用支援拡大に注力する」との見方を示した。