[ロンドン/サンフランシスコ 14日 ロイター] - 旅行予約サイト「ブッキング・ドット・コム」の運営会社、ブッキング・ホールディングスは14日、フェイスブック (O:FB)が導入を計画している暗号通貨(仮想通貨)「リブラ」の運営団体「リブラ協会」への参画を見送ると発表した。
一方、リブラ協会は14日にスイスのジュネーブで開かれた設立総会で、暫定的な定款を決定し、総勢5人の取締役を選出した。
リブラ協会のポリシー・コミュニケーション担当責任者のダンテ・ディスパルテ氏は、メンバー企業の脱退について「修正ではあるが、後退ではない」とコメントした。
前週末には、米クレジットカード大手のマスターカード (N:MA)やビザ (N:V)がリブラ協会を脱退。電子商取引のイーベイ (O:EBAY)、オンライン決済のストライプ、中南米の決済会社メルカド・パゴも参画をとりやめた。
今月4日には米決済サービス大手・ペイパル (O:PYPL)が脱退を明らかにしていたため、メンバーから大手決済会社がいなくなった。
リブラを巡っては欧米の政治家や規制当局が、国際金融の不安定化を招き、利用者のプライバシーが侵害され、資金洗浄(マネーロンダリング)を容易にすると警告してきた。
ディスパルテ氏は、規制上の問題で来年6月に予定されるサービス開始が後ずれする可能性があると認めた。
リブラ協会の資料によると、メンバー企業はジュネーブでの会合で、スイスの法律に沿って暫定的な定款を決定。決定事項の大半は運営評議会の過半数の賛成が必要とし、メンバーや準備金管理に関する変更は3分の2の賛同が必要とした。
取締役に選出されたのは、フェイスブックのリブラ責任者、デビッド・マーカス氏のほか、電子決済サービスを手掛けるオランダのペイユー(PayU)やベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ、ブロックチェーン(分散型台帳)企業のザポ・ホールディングス、非営利団体キバ・マイクロファンズのそれぞれの代表。
残るメンバー企業には、英通信大手ボーダフォン (L:VOD)や米ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズ (N:UBER)とリフト (O:LYFT)が含まれる。
決済企業で唯一残っているのがペイユーだが、同社のウェブサイトによると、米国、カナダなどでは事業を展開していない。