[ソウル 31日 ロイター] - 韓国のサムスン電子 (KS:005930)が発表した第3・四半期決算は、営業利益が前年同期比56%減少した。半導体セクターの低迷が続く中、メモリーチップ価格の下落に圧迫された。ただ、2020年にはチップ販売が上向くとの見通しを示した。
データセンター顧客からの需要が見込まれるほか、第5世代(5G)移動通信システムに対応したスマートフォンが増えており、チップ見通しに明るい兆しがみられていると指摘した。
その上で、マクロ経済環境は引き続き不透明で、2020年の見通しは慎重さをもって受け止められるべきだとした。米中貿易関係に言及したとみられる。
営業利益は7兆8000億ウォン(67億米ドル)で、自社の事前予想の7兆7000億ウォンをやや上回った。
売上高は5.3%減の62兆ウォンで自社予想と一致した。
サムスンの利益は前年比で4四半期連続で減少しており、アナリストは第4・四半期も減益を予想している。
第3・四半期のモバイル部門の営業利益は32%増の2兆9000億ウォンで、営業利益全体の減少を抑制。2016年に発生したバッテリー不具合の問題から同事業が回復する中、2018年第1・四半期以来の高水準となった。
ただ第4・四半期のモバイル部門利益は減少すると警告。マーケティング費用は増加し、旗艦モデルの販売は投入直後のピークから落ち着いていると説明した。
ライバルの米アップル (O:AAPL)が発表した年末商戦にかかる10─12月の見通しは、市場予想を上回った。サービス事業、ウエアラブル端末、新型iPhoneの需要が好調だとした。[nL3N27F5PS]
HI投資証券のアナリストはサムスンについて「新型スマホの効果は第4・四半期に薄れる可能性が高い。消費者は数カ月前に発売された『ノート』の新型モデルがそれほど魅力的だとはもう感じていない」と指摘。「出荷台数が減少し、最終的に利益も減る」と述べた。
サムスンのモバイルコミュニケーションズ事業のバイスプレジデント、Lee Jong-min氏は電話会見で、モバイル事業が低下傾向にあると指摘。「モバイル市場は通常では、季節要因により年末の時期は堅調に推移するが、世界的なマクロ環境の不透明感が続いていることから、需要は前年比で引き続き落ち込む見通しだ」と述べた。
最大の収益源である半導体部門の第3・四半期の営業利益は3兆1000億ウォンだった。供給過剰や電子機器への世界的な需要低迷を背景に、前年同期の4分の1以下となった。
ケープ投資証券のアナリストは「世界的な5Gスマホ販売は来年に本格化が見込まれ、メモリーチップ需要の堅調な伸びを下支えする」との見方を示した。
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