[ニューヨーク/北京/ワシントン 1日 ロイター] - 中国の動画投稿アプリ「TikTok」(ティックトック、抖音)を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス・テクノロジー)による米動画アプリ「Musical.ly」(ミュージカリー)買収を巡り、対米外国投資委員会(CFIUS)が調査を開始したことが、関係者2人の証言で明らかになった。国家安全保障上の脅威がないかどうか調べる。
バイトダンスは2017年12月に約10億ドルでミュージカリーを買収。その後、欧米で人気だった同アプリを閉鎖し、自社が運営するティックトックの改良版に統合した。ティックトックは米国の若者の間で人気を博しており、米国での月間アクティブユーザー数(MAU)の約6割が16ー24歳の年齢層という。
関係者らによると、バイトダンスはミュージカリーの買収に際し、CFIUSの承認を得ておらず、このためCFIUSが調査に乗り出したという。バイトダンスはミュージカリーの資産売却を回避するための対応について、CFIUSと協議しているもようだ。
ティックトックの広報担当者は「継続中の規制手続きについてはコメントできないが、ユーザーおよび米規制当局の信頼獲得を第一に考えている」と表明。バイトダンスからのコメントは得られていない。CFIUSを管轄する財務省の報道官は「CFIUSの特定の案件に関してコメントしない」とした。
この問題を巡っては、マルコ・ルビオ米上院議員(共和党)が先月、安全保障上の脅威があるとして政府に調査を要請。ルビオ議員は、ティックトックが政治的に繊細なコンテンツを検閲する目的で中国政府に利用されているとした上で、こうした中国のアプリは「コンテンツを検閲して、中国政府・共産党にとってデリケートなトピックに関する開かれた議論を抑え込むために利用されることが多くなっている」と訴えた。