[ソウル 30日 ロイター] - 韓国のサムスン電子 (KS:005930)が30日に発表した第4・四半期決算は、営業利益が34%減の7兆1600億ウォン(61億3000万ドル)で、今月初旬に公表した速報値とほぼ一致した。
純利益は38%減の5兆2000億ウォン、売上高は1%減の59兆9000億ウォンで、速報値と一致した。ただ純利益は、アナリスト予想の5兆6000億ウォンには届かなかった。
第4・四半期は、主力の半導体部門の営業利益は3兆4500億ウォンと半分以下に減少。モバイル部門は67%増の2兆5200億ウォンだった。
サムスンの業績は、データセンター向け需要の不振や在庫増を背景とするメモリーチップ価格の下落で18年終盤以降、低迷が続いている。
2019年通年の営業利益は27兆8000億ウォンで、2015年以来4年ぶりの低水準。10年ぶりの大幅な減少率を記録した。
<先行きへの慎重な姿勢で株価下落>
サムスン電子は、データセンターの顧客や5G(第5世代通信網)スマートフォンメーカーからのメモリーチップ需要が徐々に持ち直し、2020年には利益が回復すると期待をかける。
サムスンは発表文で「2020年については、全般的な業績の改善を予想している。ただ、世界のビジネス環境の不透明感が続くとも想定している」とした。
これより先には、米インテル (O:INTC)や台湾のTSMC (TW:2330) (N:TSM)などの同業も、明るい業績見通しを示している。
一方、サムスンは、米中貿易摩擦に加え、新型コロナウイルスによる肺炎の経済への影響が不安視される中、需要の伸びが抑制される可能性も排除できないと指摘した。
サムスンは2020年第1・四半期について、季節的に需要が弱い時期であることから、前期比で利益減を見込んでいるとしている。
30日のソウル株式市場で、サムスン電子は約3.2%安で終了。先行きへの慎重な姿勢で失望感が広がったもようだ。
地元証券会社のアナリストは「サムスンはメモリー市場について保守的な予想を示した。回復の力強さを巡って、市場の見方と会社の認識に差がある」と語った。
サムスンの半導体担当幹部は電話会議で、半導体需要に関する不透明感を指摘。「マクロ経済や地政学を巡る懸念には最近、後退する兆しがみられるが、状況が悪化する可能性を排除できない」とした。業績に影響する可能性のある具体的な問題は特定しなかった。
*内容を追加しました。
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