[5日 ロイター] - 米通信用半導体大手クアルコム (O:QCOM)は5日、中国での新型コロナウイルスの感染拡大により、携帯端末の生産や販売が影響を受ける可能性があるとの見解を示した。
Akash Palkhiwala最高財務責任者(CFO)は、第1・四半期(昨年10─12月)決算発表後の投資家向け電話会議で、同社は「コロナウイルスによる携帯端末の需要やサプライチェーンへの影響に関して大きな不透明感」を見込んでいると語った。
決算は市場予想を上回ったものの、ウイルスを巡る懸念から同社株は米株市場引け後の時間外取引で最大3.75%下落した。
同社の幹部らは電話会議で、ウイルスを巡る投資家の懸念を和らげようとし、2020年に次世代(5G)通信網の主要市場となるのは米国、韓国、日本とみられ、クアルコムは需要やサプライチェーンへの影響に対処できると強調した。
また、モレンコフ最高経営責任者(CEO)はインタビューで、業績見通しについて、主に中国での携帯端末向け無線周波チップの強い需要を反映していると説明した。
ただ同社はこの日、5G向け無線周波チップを巡り、欧州委員会の反トラスト法(独占禁止法)調査を受けていることも明らかにした。
2020年の5G携帯端末の販売台数見通しは1億7500万─2億2500万台に据え置いた。
第2・四半期(1─3月)の売上高見通しは49億─57億ドルとした。中間値はリフィニティブのIBESデータによるアナリスト予想平均(50億8000万ドル)をおおむね上回り、長く続いてきた半導体業界の低迷が底を打ちつつある兆しを示した。
ウイルスの感染拡大により見込まれる影響を考慮し、予想レンジに通常よりも幅を持たせた。CFOによると、1株利益見通しは下限を0.05ドル引き下げた。
半導体事業の売上高見通しは39億─45億ドルで、市場予想の38億ドルを上回った。
第1・四半期(昨年10─12月)の売上高は5%増の50億8000万ドルとなった。市場予想は48億3000万ドル。
特別項目を除く1株利益は0.99ドル。市場予想は0.85ドルだった。
主力のライセンス事業の売上高は14億ドル。ファクトセットがまとめた市場予想の14億1000万ドルとほぼ一致した。