[サンフランシスコ/ソウル 18日 ロイター] - 韓国サムスン電子 (KS:005930)の半導体製造部門が米クアルコム (O:QCOM)から次世代通信規格「5G」対応モデムチップ「X60」の受託生産契約を取り付けたことが、事情に詳しい関係者2人の話で明らかになった。
サムスンは回路線幅5ナノ(ナノは10億分の1)メートルの先端プロセスを用いて、5G対応スマートフォンなどに搭載されるX60の少なくとも一部を供給する見通し。5ナノ技術はモデムチップの小型化と省電力を可能にする。
関係筋の1人は、サムスンと競合する半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC) (TW:2330)もクアルコムに回路線幅5ナノのモデムチップを供給する見通しだと明らかにした。
サムスンとクアルコムはコメントを控えた。TSMCからもコメントは得られていない。
スマホなど電子機器のメーカーとして一般的に知られるサムスンだが、半導体部門は世界第2位のシェアを持っており、同社製スマホ用の半導体を製造するだけでなく、米IBM (N:IBM)や米エヌビディア (O:NVDA)などにも外販している。
従来は、サムスンの半導体売上高の大半をメモリーが占めていたが、価格の変動が激しいことから、同社は昨年、メモリー以外の半導体に2030年までの期間に1160億ドルを投資する計画を発表した。
今回の契約によって、クアルコムはサムスンの5ナノ技術において主要顧客となった。サムスンはTSMCに攻勢をかけるため、同技術を用いた半導体生産を今年、拡大する計画。
調査会社トレンドフォースによると、2019年第4・四半期の世界半導体市場でのシェアはTSMCが52.7%だったのに対し、サムスンは17.8%にとどまった。
これとは別に、クアルコムは18日、今年第1・四半期にX60の試供品の出荷を始めると発表した。製造委託先は明らかにしておらず、ロイターは最初の出荷分を製造するのかサムスンなのかTSMCなのか確認できなかった。
TSMCの幹部は前月、5ナノ品について、今年上期に生産拡大を見込んでおり、2020年の売上高の10%を占める見通しだと述べている。