[オークランド(米カリフォルニア州) 24日 ロイター] - 人工知能(AI)を使った顔認識技術を手掛ける米企業ランクワン・コンピューティングは24日、国内で初めて報告された同技術の誤判定による不当逮捕事件で同社のソフトウエアが使われていたのを受け、悪用を防ぐための対策を取ると表明した。
人権団体の全米市民自由連合(ACLU)によると、黒人のロバート・ウィリアムズさんは今年1月、ミシガン州デトロイトの警察にスリの容疑を不当にかけられ、1日余り拘束された。ランクワンのソフトで運転免許証の写真が監視カメラに映ったスリ犯の顔と結び付けられたことが原因だ。
ウィリアムズさんは、警察官らがコンピューターによる誤判定だったと認め、自身を釈放したとACLUが公表した動画で述べている。
ミシガン州警察とランクワンがそれぞれ示した指針では、顔認識の判定結果を逮捕の根拠にすべきではないとしている。
デトロイトの警察はウィリアムズさんの誤逮捕についてコメントを控えたが、現在は顔認識技術の使用を凶悪犯罪と家宅侵入に限定している。
ランクワンのブレンダン・クレア最高経営責任者(CEO)は電子メールで「当社の倫理規定に違反する当社ソフトの使用に対して使用許可を取り消す法的手段を確立し、悪用を阻止するためソフトに搭載する追加安全策について技術的な検討も行う」と表明した。
米IT大手マイクロソフト (O:MSFT)とアマゾン・ドット・コム (O:AMZN)は今月に入り、顔認識技術の警察への提供を停止した。アフリカ系米国人やその他のマイノリティーを不当に扱う警察の捜査手法に対する抗議活動が広がったのを受けた。