🏃 ブラックフライデーセールを早く利用して、最大55%引きでInvestingProを今すぐ!特別セールを請求する

訂正:アングル:ソニーが半導体で「サブスク」、試される複合企業の実力

発行済 2020-06-29 13:41
更新済 2020-06-29 17:09
© Reuters. アングル:ソニーが半導体で「サブスク」、試される複合企業の実力
AAPL
-
005930
-
8729
-
6758
-
SPOT
-

平田紀之 山崎牧子

[東京 29日 ロイター] - ソニー (T:6758)が稼ぎ頭の一つである半導体事業で多角化を進めている。イメージセンサーはスマートフォン向けに偏っていたが、人工知能(AI)を搭載したセンサーを開発し産業や小売業へと販路を広げ、将来的にはサブスクリプションサービスの提供も見据える。必要な人材は社内横断的に集まってきており、ハードからエンタメコンテンツまでを擁する複合企業に対する金融市場からのネガティブなイメージを打ち返せるかも試されそうだ。

「イメージセンサー事業を長期的にどうすればより競争力を維持できるか、3年ほど議論を重ねた」と、半導体子会社のシステムソリューション事業部の染宮秀樹事業部長は語る。解決策の一つが、センサーというハードの「モノ売り」にソリューションという「コト売り」をアドオン(追加)することだった。

ソニーは昨年6月、半導体でのコト売りに向けシステムソリューション事業部を立ち上げ、今年4月にはAIを搭載したイメージセンサー「IMX500」のサンプル出荷を始めた。

AIセンサーでは、情報ネットワークの末端(エッジ)に位置するセンサーが捉えた画像を解析し、必要な情報を抽出した上でクラウドサーバーに転送する。データ量が格段に小さくなり、画像データをそのままクラウドサーバーに転送して解析するのに比べ通信に伴う遅延やサーバーの負荷が軽減される。

画像データをより価値のある情報に加工するニーズには「ハードの市場より拡大余地がある」と染宮氏(訂正)は語る。ソニーは関連技術を獲得するために買収も積極的に行っており、昨年買収したスイスのミドクラは、AIセンサーの開発に大きく貢献しているという。

<用途の多様化と収入の安定化>

ソニーのイメージセンサーは、シェアでは2位の韓国サムスン電子 (KS:005930)に倍近く差をつけるなど他を圧倒しており、同社にとって稼ぎ頭の一つでもある。ただ、スマホ向けが約9割を占め、用途の偏りが大きい。米中摩擦で主要顧客の中国の携帯端末大手のファーウェイ[HWT.UL]の経営が揺さぶられるなど、市場の先行き不透明感も増している。AIセンサーは製造業や小売業向けを想定し、利用が広がれば用途の多様化に寄与し得る。

その先には、半導体ソリューションのサブスクも見据える。サブスクでは、顧客と継続的につながることができ、安定収入も期待される。すでにゲーム事業ではサブスクを提供し着実に利用者が増加、音楽事業では米アップル (O:AAPL)やスポティファイ (N:SPOT)のサブスクを通じて配信される楽曲の著作権収入を得ている。

もっとも現時点では、ソニーの半導体でのサブスクが事業の柱に育つかは読みにくい。エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは、ソニーの取り組みは業界の流れに沿うとみる一方、「製造業や小売業の現場にどれほどのニーズがあるかは、やってみないとわからない」と話す。金融市場の関心は当面、引き続きスマホ向けセンサーの動向に向かいやすいという。

<複合企業のデメリット打ち返せるか>

ソニーは来年、社名を「ソニーグループ」に変更し本社機能を明確化する。金融子会社のソニーフィナンシャルホールディングス (T:8729)を完全子会社化する方針も打ち出した。吉田憲一郎社長兼最高経営責任者(CEO)は5月の会見で、事業ポートフォリオは多岐にわたるとし「多様性は経営の安定性にもつながっている。これをさらなる強みとするためグループ経営の強化を継続する」と述べた。

ソニーに対しては、ダニエル・ローブ氏が率いるヘッジファンドのサード・ポイントが「メディアと半導体部門の独立は可能で、一体化しているよりも多くの価値を創出できると考えている」と指摘するなど、複合企業の側面に否定的な見方もある。

ただ、足元のように不確実性が高まっている状況下では、一時的に儲かるビジネスが次の局面でどうなるか読みにくく、「一つの技術が多用途に応用できる方がいい」と早稲田大学大学院経営管理研究科の長内厚教授は指摘している。

ソニーの半導体事業では、製品に組み込むソフトの技術者が多くクラウドやネットワークに精通する人材が少なかったが「幸い、グループ全体を見渡すと様々なソフトウェアエンジニアがいる。志願して我々の事業部にくるエンジニアも、かなり増えてきている」(染宮氏)(訂正)という。新たな取り組みは、複合企業で課題とされる横断的なリソース活用の成否を試す機会にもなるかもしれない。

© Reuters. アングル:ソニーが半導体で「サブスク」、試される複合企業の実力

*本文5段落目と12段落目の染宮氏の表記を訂正し、本文2段落目と3段落目の部署名の表記を明確にして再送します。

(編集:田中志保)

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます