[ボストン/東京 19日 ロイター] - 米ヘッジファンドのサード・ポイントが保有していたソニー (T:6758)の米預託証券(ADR)全てを売却したことが、米当局への提出資料で明らかになった。
ただ、事情に詳しい関係者によると、サード・ポイントは依然として、日本に上場するソニー株をかなりの割合で保有しているという。ダニエル・ローブ氏が率いる同ファンドは「物言う株主」として知られ、ソニーに半導体事業の分離などの変革を求めていた。
米証券取引委員会(SEC)の開示資料によると、サード・ポイントは2019年12月時点でソニーのADR150万株を保有していたが、今年3月末時点で67万5000株に減少し、6月末時点ではソニー株保有の記載がなくなった。
ただ、SECの資料は米国内の株式の保有数だけ記載しているため、海外の株式あるいは日本に上場するソニーの普通株の保有数は分からない。
ソニーの広報担当者は、個別株主についてはコメントしないとした。サード・ポイントはコメントを控えた。
サード・ポイントは昨年、ソニーの保有株を公表するとともに、同社に対し、半導体事業を分離し、金融子会社のソニーフィナンシャルなどの非中核資産の売却を進め、娯楽事業に集中するよう求めた。
ソニー側は半導体事業分離の要求を拒否し、ソニーフィナンシャルは完全子会社化した。
それでもなお、サード・ポイントはソニー株から大きな恩恵を受けているとみられる。ロイターが最初に同ファンドによるソニー株購入を伝えた昨年4月以来、株価は約80%急騰している。