[27日 ロイター] - 中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)は今週、傘下の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のエンジニアにメモを送り、米国事業の売却で合意できずサービス停止を迫られた場合に備え、対応策を検討するよう指示した。事情に詳しい関係筋が27日、明らかにした。
トランプ米大統領は、安全保障上の懸念を理由にバイトダンスにティックトックの米国事業の売却を命じており、マイクロソフト (O:MSFT)やオラクル (N:ORCL)などが買収を目指している。関係筋によると、バイトダンスは早ければ28日にも独占交渉先を選ぶ見通しという。
トランプ氏は今月6日、ティックトックやバイトダンスとの取引を45日後から禁じる大統領令も発令。ティックトックはこれに反発してトランプ政権を提訴しているが、同時に、9月半ばまでに買い手と合意できず、サービス停止に追い込まれる事態にも備えている。また、サービス停止となった場合でも一時的にとどめたい意向という。
米事業の売却は米中両政府の承認が必要となる。関係筋によると、対応策の策定は、両国のいずれかが売却を阻止した場合を想定し、ティックトックの世界事業において備えを行う狙いもある。
バイトダンスはサービス停止への備えをバックアップ計画と位置付けており、米国で中断なくサービスを継続できるよう、合意に向けて取り組んでいるという。
ティックトックの広報担当者は、米ユーザーに引き続きサービスを提供すべく「解決策を見いだすと確信している」と述べた。
ティックトックの米アクティブユーザーは約1億人に上る。サービスが停止されれば、米国のユーザーがアプリにアクセスできなくなるだけでなく、多数のフォロワーを築いてきた「インフルエンサー」が広告主などから得る収入を失う可能性もある。
米国でサービスが停止されれば、新規ユーザーはアプリをダウンロードできなくなるが、すでにダウンロード済みの米ユーザーもアプリを使用できなくなるかどうかは明らかでない。