[東京 19日 ロイター] - 富士通 (T:6702)は19日、東京証券取引所で10月1日に生じた大規模なシステム障害について、故障した装置のマニュアルでの記述と実際の仕様に食い違いがあったと発表した。東証や投資家、市場関係者などに向けて陳謝した上で「再発防止に向け、全力を挙げる」としている。
東証のシステム障害では、富士通が開発した株式売買システム「アローヘッド」の共有ディスク装置の1号機に搭載されたメモリーに故障が発生し、自動的な2号機への切り替えが機能しなかった。
富士通によると、マニュアルにはメモリー故障時などに必ず自動切り替えが行われるとの記述があったが、実際には、設定によっては自動切り替えが行われない仕様だった。食い違いが生じたのは、基本ソフト(OS)のバージョンアップで仕様が変更された際、マニュアルの記述が変更されなかったためだという。そのことを製品出荷時などの試験で検出できなかったことは「当社の試験・確認が不十分だった」としている。メモリー部品の故障自体は偶発的なものだったという。
東証に納入した共有ディスク装置は他社によるOEM製品だったが、富士通は「出荷品質の責任は当社にある」としている。今後は東証で製品仕様とマニュアル記載内容の再点検を進める。OEM業者とは仕様の追加・変更時の通知徹底などの連携を強化するほか、OEM製品の評価プロセスの改善も進め、再発防止につなげたい考え。
同様の仕様・設定の製品を使う他の顧客に対しても、システムの再点検と品質保証体制を強化する。
全社的な品質保証体制の強化も進める。事業部門ごとの品質保証プロセスに加え、社長直轄の組織として各プロセスの有効性の監視や部門間でさらなる知見、ノウハウの共有を可能にする横断的な仕組みを導入する。
(平田紀之)