AIの安全性確保にはさらなる計算資源が必要、専門家が指摘
2026年8月27日(木)、ナイアジェン・バイオサイエンス(CDXC)は第17回年次中西部IDEAS会議において、収益性の高い消費者向けヘルスケア企業としての側面と、長期的な医薬品開発企業としての側面を併せ持つ企業像を提示した。最高財務責任者(CFO)のオザン・パミール氏は、同社が強固なキャッシュフローと健全なバランスシートを有していると述べる一方、医薬品パイプラインには長く不確実な道のりが残されていることも指摘した。
同社は、細胞のエネルギー産生と修復に関わる分子であるNADを中核に据えたビジネスを展開しており、サプリメント、原料成分、点滴・注射製品、スキンケアにわたる幅広い製品群を有している。経営陣は市場機会が大きいと述べた一方、医薬品プログラムにはさらなる試験、規制当局への対応、そして外部資金調達が必要になる可能性が高いとも指摘した。
主要ポイント
- ナイアジェン・バイオサイエンスによると、直近12カ月の売上高は1億2,700万ドルに達し、純利益は1,600万ドル、調整後EBITDAは1,700万ドルとなった。
- 同社は現金6,700万ドルを保有し、有利子負債はゼロ、ワラントの残高もゼロであると発表した。
- 経営陣は、消費者向け製品、原料成分販売、点滴製品、スキンケア、医薬品開発を網羅する幅広いNADプラットフォームを強調した。
- 主力薬剤候補であるNB4168は現在も前臨床段階にあり、2027年に初の臨床試験(ファースト・イン・ヒューマン)が予定され、承認の可能性は2030年頃とされている。
- 経営陣は、開発資金の調達にあたり、内部資本のみに依存するのではなく、スピンアウト、ライセンス契約、またはパートナーシップを優先する方針を示した。
財務実績
ナイアジェン・バイオサイエンスは、事業が引き続き収益性を維持し、キャッシュを創出していると述べた。
- 直近12カ月売上高:1億2,700万ドル
- 純利益:1,600万ドル
- 調整後EBITDA:1,700万ドル
- 営業キャッシュフロー:600万ドル
- 手元現金:6,700万ドル
- 有利子負債合計:0ドル
- 発行済み株式数:7,900万株
- ワラント残高:0
同社によると、売上総利益率は四半期ごとの製品構成に応じて63%から65%の範囲で推移している。提示された数値に基づくと、純利益率は約12.6%、調整後EBITDAマージンは約13.4%と試算される。
経営陣は資本構造の健全性も強調した。バランスシートを「要塞」と表現し、資本構成が明確であると述べた。また、経営陣によると、ネスレが同社株式の5%弱を保有しているという。
事業の最新動向
ナイアジェン・バイオサイエンスによると、同社の主力製品は「Tru Niagen」であり、これはNADの直接補給製品ではなく、NADの前駆体として位置づけられたニコチンアミドリボシドクロライドのサプリメントである。パミール氏は、NADレベルは30歳から70歳の間に65%低下すると述べ、これが加齢に伴う回復力の低下や細胞エネルギーの減少につながると説明した。
同氏は、NADを直接補給しても効果が薄い理由として、NAD分子が大きすぎて細胞内に効率よく取り込まれないことを挙げた。「それが私たちの販売している製品だ」と同氏は前駆体ベースの製品について語った。
経営陣によると、臨床試験では、Tru Niagen 1,000ミリグラムを8週間摂取した後、NADレベルが40%から50%上昇することが示されているという。同社は500件以上の公表済み科学的研究と46件以上のヒト臨床試験を有していると述べた。
同社の製品・流通網は以下の通りである:
- Eコマースを通じた直接消費者向け販売(経営陣によると事業の半数以上を占める)
- GNC、Sam’s Club、Sprouts、The Vitamin Shoppeでの小売流通
- 香港、シンガポール、マレーシア、フィリピンのWatsonsを通じた海外販売
- Matakana Healthを通じたオーストラリア・ニュージーランドでの流通
- iHerbおよびその他のオンラインチャネルを通じた販売
- ネスレ、Life Extension、H&Hを含むパートナーへの原料成分販売
- Restore Hyper WellnessやDrip Hydrationを含む全国1,700以上のクリニックへの点滴・注射製品販売
経営陣によると、Tru Niagenが2017年に発売されて以来、Eコマースチャネルは年平均66%の複合成長率で拡大しているという。
同社はまた、新製品についても言及した。ヒアルロン酸とNiagenを粉末状に組み合わせ、美容液と混ぜて使用するスキンケア製品「Niagen NanoCloud」は、パイロット販売で完売となった。2024年10月に第2弾の販売が予定されている。また、点滴・注射用の医薬品グレード製品「Niagen Plus」は、2024年にCompound Pharmacy Partnersを通じて発売された。
科学的基盤と競争上の優位性
ナイアジェン・バイオサイエンスは、科学的研究が製品教育とブランド構築の両面において中核をなすと述べた。経営陣によると、同社はノーベル賞受賞者のロジャー・コーンバーグ氏、NAD代謝の専門家チャールズ・ブレナー氏、アルツハイマー病研究者のルディ・タンジ氏、老化研究者のウィル・ボア氏、ハッシー・コーエン氏、その他の専門家を含む科学諮問委員会を組織しているという。
同社は複数のNAD前駆体分子にわたる100件以上の特許を保有していると述べた。これらの特許には、物質の組成、使用方法、結晶形態に関する保護が含まれており、大半は2036年および2037年に満了する予定である。経営陣によると、現時点で商業化されているのはクロライド形態のみであり、他の3つの特許取得済み分子については探索段階にあるという。
競合について、パミール氏は他のサプリメント企業もNAD製品を販売していると述べたが、NADのバリューチェーン全体にわたるビジネスを構築した企業は他にないと主張した。同氏は、口コミやパフォーマンスマーケティングにとどまらず、科学的な出版物を教育ツールとして活用し、より広範なブランドキャンペーンを追加することで、市場でのリーダーシップを強化する計画を示した。
今後の見通しと医薬品パイプライン
同社の最も野心的なプロジェクトは、NB4168である。経営陣によると、この独自分子はニコチンアミドリボシドクロライドよりも生物学的利用能が高く、安全性プロファイルも優れているという。この分子は自然界には存在せず、サプリメントとして販売されているものでもない。
経営陣によると、線虫やマウスを用いた前臨床試験が進行中であり、ナイアジェン・バイオサイエンスは安全性、毒性学、PK/PD(薬物動態・薬力学)研究においてEvotecと提携している。同社はこれらの前臨床試験が2027年初頭に完了する見込みであると述べた。
経営陣が示した今後のステップは以下の通りである:
- 2027年:初の臨床試験(ファースト・イン・ヒューマン)実施
- 初の臨床試験完了後:フェーズII試験の設計
- 2030年頃:薬剤承認の可能性
経営陣は、内部資本のみに依存するのではなく、スピンアウト、ライセンス契約、またはパートナーシップによってプログラムの資金を調達することを優先すると述べた。同社は開発を支援するのに十分な現金を保有しているが、外部との連携構造が株主にとってより有益である可能性があると考えているという。
ナイアジェン・バイオサイエンスはまた、希少遺伝性疾患である毛細血管拡張性失調症(A-T)の患者向けに、NB4168の小児用製剤を開発中であることも明らかにした。
毛細血管拡張性失調症(A-T)の臨床試験
経営陣は、医薬品開発の主要事例として毛細血管拡張性失調症(A-T)を取り上げた。この疾患はATM遺伝子のノックアウトによって引き起こされ、NADレベルが著しく低下することを特徴とする。パミール氏によると、患者は12歳までに車椅子生活を余儀なくされることが多く、平均寿命は約20年程度とされている。
同社はすでに、サプリメント版製品であるTru Niagenを使用した研究者主導のフェーズII試験を2件完了しており、これらの試験ではICARS(国際協調運動評価スケール)やSARA(脊髄小脳変性症評価スケール)などの標準化された評価尺度を用いた神経運動機能において、統計的に有意な改善が示されたという。
経営陣によると、2024年に実施された13名の患者を対象とするより長期の試験においても、A-T NEST、ICARS、SARA、歩行評価スケールで改善が確認されたという。同社はこの効果を治癒ではなく症状管理と位置づけており、治療を中止すると効果が消失したと述べた。
パミール氏は、今後のNB4168試験が過去のA-T研究と異なる点として以下の3点を挙げた:
- サプリメントのTru Niagenではなく、NB4168を使用する
- プラセボ対照・二重盲検試験として実施する
- FDA(米国食品医薬品局)の医薬品プログラム基準を満たす設計とする
質疑応答のハイライト
質疑応答セッションでは、マーケティング、特許、開発スケジュール、安全性に関する質問が取り上げられた。
製品認知度について、パミール氏は同社がこれまで口コミとパフォーマンスマーケティングに依存してきたと述べ、市場でのリーダーシップを強化するために、より多くの科学的教育コンテンツと広範なブランドキャンペーンを活用する計画を示した。
特許ポートフォリオについては、物質の組成、使用方法、結晶形態に関する特許を含む100件以上の特許を保有しており、大半は2036年および2037年に満了すると述べた。
その他の分子については、NB4168以外に3つの追加特許取得済み分子が存在するが、正式な商業化計画はまだ策定されていないと述べた。
開発スケジュールについては、Evotecによる前臨床試験が2027年初頭に完了し、その後2027年に初の臨床試験が実施され、2030年頃に承認の可能性があると述べた。
投与量に関する懸念については、初期のマウス試験では相対的に高い用量が使用されたことを認めたが、NB4168は腸内マイクロバイオームを迂回しながら、より多くの有効成分を血流に届けることが期待されるため選択されたと説明した。
2025年7月16日に発表された、小型哺乳類における不安症状の可能性を示唆した研究については、現在の投与量レベルでは不安症状は観察されていないと経営陣は述べた。
競合については、パミール氏はNADサプリメント市場に競合が存在することを認めつつも、ナイアジェン・バイオサイエンスは短期間では模倣が困難な、より広範なプラットフォームを構築していると主張した。
まとめ
ナイアジェン・バイオサイエンスは、健全なバランスシートと成長する消費者向けビジネス、そして長期的な医薬品開発の選択肢を持つ、収益性の高いNAD企業として自社を位置づけた。近期の事業は安定しているとみられる一方、医薬品パイプラインは依然として初期段階にあり、今後のデータとパートナーシップに依存している。
詳細については、以下の完全な議事録を参照されたい。
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