後場の日経平均は255円高でスタート、サンリオや三菱重などが上昇
米連邦準備理事会(FRB)は政策金利を0.25ポイント引き上げた。年内に追加利上げを実施した後、2027年を通じて金利を据え置く可能性も示唆した。
一方、労働需給はFRBが想定するほど逼迫しておらず、インフレの先行きについてもやや楽観的にみている。ペルシャ湾からのエネルギー供給が再開すれば、利上げは今回で打ち止めとなる可能性が高まる。
インフレ率の「より早期の目標回帰」を後押し
FRBは市場の予想通り、政策金利を0.25ポイント引き上げ、誘導目標を3.75~4.00%とした。ケビン・ウォーシュFRB議長がジャクソンホール会議でタカ派姿勢を示したことを受け、市場はすでに利上げを急速に織り込んでいた。その後、雇用やコアインフレの指標が予想を上回ったことで、利上げはほぼ既定路線となっていた。
今回の決定は全会一致だった。声明は簡潔で、ウォーシュ議長の就任後に開かれた過去3回の会合と同様の形式となった。FRBは経済活動について「堅調」とする一方、不確実性とインフレは引き続き「高い」と指摘した。そのうえで、今回の決定は「インフレ率が委員会の2%目標により早期に回帰することを後押しする」と説明した。
年内の追加利上げ後、長期据え置きを示唆
FRBが公表した経済見通しでは、中心的な予測として年内にあと1回の利上げが見込まれており、市場の織り込みと一致した。その後は2027年を通じて政策金利の中心値を4.125%に据え置く見通しとなっている。FF金利誘導目標の中央値は2028年に3.875%、2029年末に3.625%、長期では3.25%とされた。6月時点の予測と比べると金利見通しは引き上げられたものの、市場が織り込む0.25ポイントの追加利上げ3回よりは低い水準となっている。
金利見通し(ドットプロット)では、18人が予測を提出しており、ケビン・ウォーシュ議長は今回も自身の見通しを示さなかったとみられる。年内の追加利上げを見込まない参加者は18人中2人にとどまり、もう1回の利上げへの支持が強いことがうかがえる。また、来年に何らかの利下げを予想する参加者も18人中4人にすぎない。
さらに、18人中8人は2027年末までに政策金利の中央値が4.375%に達すると予想しており、これは追加で2回の利上げに相当する。FRBは6月時点よりもタカ派色を強めた。成長率とインフレ率の見通しを引き上げる一方、失業率の予測を引き下げている。ただ、足元のデータの傾向を踏まえれば、本来は逆方向の修正になるはずだとみている。
成長率、インフレ、雇用に関する見通しからは、追加利上げの必要性はほとんどないと考えられる。FRBがタカ派姿勢を打ち出しているのは、債券市場からの信認を高める狙いがある可能性もある。米財務省がイールドカーブの長期ゾーンの安定を図るなか、FRBもその取り組みを後押ししようとしている可能性がある。
追加利上げは見込まず
通常、FRBの利上げ局面では複数回の利上げが実施される傾向があり、実際、FRBの経済見通しでも年内にもう1回の利上げが見込まれている。ただ、今回は今回の利上げを最後に、政策金利が据え置きに移る可能性があるとみている。
8月の雇用者数は16万2,000人増と堅調だったものの、2025年1月から2026年7月までの月平均増加数はわずか3万1,000人にとどまった。採用関連の指標をみても、雇用の伸びは再びこの低い水準に戻る可能性が高い。
さらに、失業率は4.1%と低いものの、労働参加率は2025年初めから1ポイント低下している。これは労働市場から離れる人が増えていることを示しており、失業率だけでは見えない労働需給の余裕があると考えられる。賃金上昇率がわずか3%にとどまっていることも、その見方を裏付けている。
賃金の伸びが弱いことは、インフレ抑制にはプラスに働く。関税によるインフレ圧力はすでにおおむね価格に反映されており、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税の還付も企業のキャッシュフローを押し上げる。こうしたコスト圧力の低下は、エネルギーや燃料価格の上昇による影響を和らげる要因となる。
また、消費者物価指数(CPI)の約35%を占める住居費も、不動産市場の停滞や民間賃貸料の上昇鈍化を背景に、伸びがさらに鈍化するとみられる。
最大の不確実要因はエネルギーだ。ホルムズ海峡を通る原油・ガスの供給再開に進展がみられず、総合インフレ率の鈍化は足踏みしている。それでも、中東情勢はいずれ改善し、原油価格は年後半に再び下落に向かうとみている。そうなれば、インフレを取り巻く環境は急速に改善するだろう。
市場や消費者のインフレ期待が引き続き安定していることを踏まえると、現在の状況は1990年代後半と重なる。FRBは1996年初めに利下げした後、政策を据え置き、1997年3月にはアラン・グリーンスパン議長の下で「リスク管理」を目的とした1回限りの利上げを実施した。その後は1998年後半まで長期間にわたり金利を据え置いた。
長期金利は落ち着くも、先行きには警戒
FRBの決定後、長期金利は落ち着いた動きをみせているものの、長期債には引き続き弱気の見方が出ている。0.25ポイントの利上げによって、ここ数カ月に長期金利を押し上げてきた要因が大きく変わるわけではない。インフレ率は依然として高く、財政赤字も大きい。国債発行の増加も続いている。さらに、AIによる生産性向上への期待も根強い。
今後数日から数週間で、米10年債利回りが再び5%を上回る可能性は高い。そうなれば、市場は5%超の水準を徐々に受け入れ、5.25~5.5%も十分に到達可能な水準として意識し始めるだろう。長期金利を押し上げてきた環境に、なお大きな変化がみられないためだ。
今回の0.25ポイントの利上げは市場が予想していたため、それ自体が相場に大きな影響を与えるものではない。決定直後、長期債市場は落ち着いた反応を示し、10年債利回りは4.95%前後で推移した。決定前の午前中からは、利回りがやや低下する動きもみられていた。
こうした反応の背景には、10年債利回りが数日前にすでに5%を上回り、終値でも5%超となっていたことがある。今回の決定を受けて起きる可能性があった金利上昇を、市場が事前に織り込んでいた格好だ。
ウォーシュ議長にとって好材料なのは、10年債利回りが5%を上回るなかでもインフレ期待がやや低下したことだ。市場が今回の利上げをインフレ抑制策として一定程度評価していることを示している。一方、10年物の実質金利は小幅に上昇した。
30年債利回りもSOFR(担保付翌日物調達金利)対比ではやや割高となっているが、その動きは小幅にとどまる。30年債利回りはベッセント財務長官が国債買い戻しを発表する前より依然高いものの、その後につけた高水準からは大きく低下している。SOFRとの比較でも、買い戻し発表前に比べて約4ベーシスポイント割高な状態を維持している。
一方、イールドカーブの短期側では、FOMCが全会一致で利上げを決め、ウォーシュ議長も賛成したことに加え、金利見通しが追加利上げを示唆したことから、2年債が売られた。決定後、2年債利回りは約10ベーシスポイント上昇し、4.7%近くに達した。
この結果、イールドカーブは主に短期金利の上昇によってフラット化し、2年債と10年債の利回り差は再び30ベーシスポイントを下回った。一方、2年・5年・10年債のバタフライでは5年ゾーンに大きな変化はみられない。追加利上げがあるとしても、回数は限られることを示唆している。
短期金融市場の資金需給にも目立った変化はない。銀行の準備預金は潤沢で、バランスシートを巡る状況にも一定の余裕があるとみられる。この分野については2026年末までにさらに検討が進められ、具体的な措置は2027年以降に実施される見通しだ。
ドル高基調が強まる
FRBが金融政策運営で引き締め姿勢を明確にしたことで、ドルの価値低下を見込む取引が近く再び広がる可能性は低下した。ドルの下値リスクは限定され、外部環境からの追い風を受けやすい状況が続くとみられる。エネルギー価格が高止まりする限り、足元のドル高基調に逆らう理由は乏しい。
FRBが追加利上げの可能性を残していることから、今後発表される経済指標がドルをさらに押し上げる可能性もある。強い指標が続けば、追加利上げの時期が10月に前倒しされるとの観測が強まる可能性がある。市場は現在、10月会合について11ベーシスポイント程度の利上げを織り込んでいる。
ユーロ・ドルはFRBの発表後に1.150を割り込んだ。次の明確な下値支持は、6月の下落局面で底を打った1.1330~1.1360付近とみられる。短期的な下値余地も、この水準までにとどまる可能性が高い。
一方、ユーロ・ドルの見通しはこれよりやや強気を維持している。ただし、その前提は中東の湾岸地域の情勢が改善し、年末までに原油価格が急速に下落することだ。9月末の目標を1.150、年末には1.160への小幅上昇を見込んでいる。
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