[東京 29日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日のニューヨーク市場終盤(137.52/55円)から上昇し、138.81/83円付近で推移している。米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢や時間外取引の米金利の上昇を受けて、ドルは一時7月15日以来1カ月半ぶりにに139円台に上昇。その後は利益確定売りなどに押され、138円後半でもみあいとなった。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は26日、成長鈍化などの「痛み」を伴ったとしても、インフレが抑制されるまで「当面」金融引き締めが必要という見解を示した。 ターミナルレート(利上げの最終地点)への言及は避け、金利は必要に応じ上昇するという認識を示すにとどめた。その上で「目標を達成するまで続けなければならない」とし、歴史は時期尚早な政策緩和に警鐘を鳴らしていると指摘した。
あおぞら銀行のチーフマーケットストラテジスト、諸我晃氏は「高い政策金利が長期間継続する可能性があるとの見方を示したことから、市場が織り込んでた来年の利下げ観測が修正された」とみる。
米2年債利回りが一時3.48%台と2007年以来15年ぶりの水準まで上昇。米10年債利回りも連れ高となり、一時3.13%台と6月29日以来の高水準を付けた。これを受けて、ドル買い/円売りが一段と加速した。
また、リセッション懸念やエネルギー供給不安を背景にポンドやユーロなど欧州通貨が軟調に推移したことに加えて、オフショア人民元が対ドルで一時2年ぶりの安値を付けるなど、ドルが主要通貨に対して全面高となったことも、ドル/円を押し上げた。
市場関係者によると「海外勢による仕掛け的なドル買い/円売りが出ている」(国内金融機関)とみられる。ただ、足元のドル/円は値動きが軽くなっている分、米金利が低下した場合は調整が入りやすいという。
日経平均株価やアジア株、時間外取引の米株先物は大幅安となるなどリスクオフの流れが強まっているものの、米金利の低下にはつながっていない。しかし、今後は世界的な景気後退が意識されやすいほか、足元の金利はオーバーシュート気味に上昇しているとみられ、「ドル/円は徐々に上値を抑えられる」(諸我氏)と指摘する声が聞かれた。
ユーロ/ドルは0.9922/26ドル。「売られ過ぎた反動で買い戻しが入っているほか、9月の大幅利上げ観測がユーロを下支えしている」(国内銀行)という。
26日のクノット・オランダ中銀総裁の発言に続き、27日にはシュナーベル専務理事、ビルロワドガロー仏中銀総裁、カザークス・ラトビア中銀総裁など、欧州中央銀行(ECB)高官の間から、9月の理事会で75bpの大幅な利上げを支持する声が相次いでいる。
ドル/円 ユーロ/ドル ユーロ/円
午後3時現在 138.81/83 0.9922/26 137.74/78
午前9時現在 138.15/17 0.9934/38 137.26/30
NY午後5時 137.52/55 0.9961/65 137.22/26